30%。
これが何の数字かわかりますか?
答えは「離婚率」です。日本では夫婦3組のうち1組が離婚するといわれています。
この数字が多いか少ないかは、人によって意見が分かれると思いますが、どの夫婦も離婚を前提に結婚することはないですよね。
そのため、離婚と直面して初めて、共有名義のマンションの売却が難しいことを知るのです。
そうそう。実は、離婚は結婚よりも面倒なんだよね。
財産分与は手続き自体も面倒だけど、お互いの要求と感情がぶつかりあうことになるから、余計にややこしくなる。
共有名義とは、マンションの名義に夫婦ふたりの名前が連なっている状態のことをいいます。
自分ひとりのマンションなら勝手に売ってしまえばいいですが、二人のマンションとなると話は別。
夫婦ふたりともが、売るのに同意している必要があります。
共有名義のマンションは、売るための準備も複雑で、売ったあとのお金の分け方や税金の払い方など、普通のひとり名義のマンションを売る場合と比べて苦労するところが多いのです。
そこで今回は、共有名義のマンションを売却する方法について説明することにしました。
- 共有名義のマンションを売るための準備
- 離婚時の譲渡所得の分け方
- 夫婦ごとの譲渡税の割合
こうした共有名義のマンションを売るために必要な知識を得られます。
離婚を前にマンションの始末をどうするか焦っている人は、ぜひ落ち着いて最後まで読んでみてくださいね。
離婚が原因でマンションを売却するときの注意
妻または夫との離婚をきっかけに、「今住んでいるマンションを売りたい」という場合は、
なぜなら、一人で所有するマンションか共有名義のマンションかによって、売却方法や売却後の後始末の方法が全然変わってくるからです。
特に以下の点には注意が必要です。
- ひとりで勝手に売ることができない
- 売ったお金を独り占めすることはできない
- 税金を負担する割合が夫婦で違う
- 売った後のローンが残る場合は売れない
- 普通に売却準備を始めると離婚が近所にばれてしまう
もし一つでも「え、そうなの?」ということがあるアナタ。
まだ共有名義のマンションを売る準備が整っていないなあ。
共有名義のマンションを売却する流れ
まずは共有名義という言葉の意味を知っておきましょう。
共有名義とは、1つの不動産(建物・土地)を複数人で所有している状態をいいます。
共有名義のマンションでは、夫婦それぞれに持分割合という名称で、所有している権利の割合が決められています。
例えば、マンションを購入する際に、夫婦で半分ずつ資金を出した場合は、所有割合・持分割合がお互いに「1/2」になります。
ただし、資金を半分ずつ出し合ったとしても、登記簿に名義人として連なっていない方には法的な権利はありません。
いくらお金を出したと言っても、基本的には共有名義人として認められないので注意が必要です。
二人で資金を出し合ってマンションを買うとき共有名義にしたいなら、売買契約書などへの署名押印を「連名」ですることが大切です。
売買契約前に行われる重要事項説明にも名義人となる者が全員参加する必要があります。
重要事項説明書への署名押印も、同様に連名でしておかなければいけないのですね。
共有名義にするマンションの買い方を今知っても遅いけど、一応説明しておいたよ。
共有名義について理解できましたか。次は、実際にマンションを売却するための流れを説明します。
共有名義のマンションを売るときは夫婦両方の同意が必要
通常のマンションを売却するとき、最初の一歩になるのは、相場調査や査定依頼です。
自分が売りたいマンションが、だいたいいくらくらいで売れるのかを調べるわけだね。
しかし、共有名義のマンションを売却する場合は、「他の所有者の説得・同意」からスタートしなければいけません。
なぜなら、共有名義のマンションを売るときは、共有名義の全員の同意がいるからです。
例えば、「夫だけが売りたい、妻は売りたくない」というケースは、マンションの売却に着手することができないわけです。
ただし、売却の同意を得るためには、相手に「だいたい3000万円くらいで売れるから」というように、目安の売却を伝えたほうが話を進めやすいはずです。
物件の売却価格を知るための査定は、ネットでもできます。
離婚を前にすると色々忙しいので、ネットですぐにマンションが売れる価格を調べられるサービスは便利ですね。
以下ではそんな査定サービスの使い方と一緒に、できるだけ高くマンションを売るコツをまとめています。
少しでも高く売却するための不動産会社の選び方
共有名義のマンションを売却して得たお金の分け方
夫婦両方がマンションの売却に同意し、そのあとスムーズに買い手が見つかったとしましょう。
普通なら、ヤッターと叫びたいところ。
でも、共有名義のマンションの場合は売ったお金を分けるための面倒なやり取りが必要になるんだ。
マンションが売れれば、もちろん多額の現金が手に入ります。
この売却代金の分け方は持分割合に応じて分け合うことになります。
持分割合とは、ひとつのマンションを夫婦それぞれで所有している割合のことです。
だいたいはマンションを購入したときの資金の割合と同じにします。
例えば、3000万円のマンションを夫2000万円、妻1000万円と出し合って購入した場合、持分割合は夫3分の2、妻が3分の1となります。
マンションを売ったときのお金も、この持分割合をもとに分けられます。
夫3分の2、妻3分の1。この持分割合のマンションを6000万円で売ったなら、夫が4000万円、妻が2000万円を受け取ります。
共有名義のマンションを売ったときの税金の負担割合
売ったときのお金を分け合うなら、税金も同じく分割します。
不動産を売却して発生した利益を譲渡所得というんだ。
マンションを売却するときは、頻出する専門用語だから必ず覚えておこう。
譲渡所得に対しては、「所得税・住民税」の税金が課されます。
この税金負担も持分割合に応じて支払うわけですね。
ただし、確定申告は夫婦で合計して申告が可能です。
夫婦以外の共有名義の場合は、名義人それぞれに確定申告が必要。
これは夫婦による共有名義のケースだけにあてはまる特例です。
共有名義でないマンションの売却方法
名義が夫婦の一方だけの場合なら、今まで説明してきたような面倒なことは抜きに売却を進められます。
名義人でない夫、あるいは妻の同意を得る必要はない。
税金は名義人の全負担になるけど、利益は総取りできるよ。
妻、あるいは夫が売却に反対している
夫婦の両方が売却に前向きになっているとは限りません。
離婚時にはお互いの感情や要求がぶつかりあいます。
話がこじれて、妻、あるいは夫のどちらか一方が「絶対に売るのは嫌だ」とゴネる可能性は捨てきれません。
そういったケースで「どうしても売りたい」と思うのであれば、共有持分のマンションを専門に買い取ってくれる業者へ相談してみるのはいかがでしょうか。
離婚を背景にした売却実績も豊富に持っているので、トラブル回避のための具体的な方法を提案してくれるはずです。
マンション売却の条件が夫婦で一致しない場合の対処法
相手がマンションの売却に同意していても、売り出し価格などの売却条件が一致しないことがよくあります。
離婚時の交渉では、様々な感情が入り混じるから。
一方が離婚後の生活資金に不安を感じているような場合なら、少しでも高く売りたいと願うのは当然のことだよね。
お互いの要求が一致せず、埒が明かない場合は、「代理人」を代表者にして手続きを進める方法もあります。
ただし、代理人を立てるときは夫婦両方からの委任状、印鑑証明書などが必要になります。
近所に秘密でマンションを売却したいときの対処法
マンションの売却が近所に知れ渡ると、離婚することも知られてしまうリスクがあります。
秘密裏にマンションの売却を進めたい場合は、売却を依頼する仲介会社との媒介契約を「一般媒介契約」にすることをお勧めします。
不動産会社との仲介契約に3種類あります。
- 一般媒介契約
- 専属媒介契約
- 専属媒介契約
3種類の媒介契約の違いは以下の記事で詳しく比較しているよ。
どれが有利?一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約の違い
一般媒介契約では、他の契約方法と違って、レインズへの登録がありません。
レインズとは、不動産情報を登録するネットワークの名称。
このレインズへ登録すると、マンションの情報が市場に出回ってしまうので近所に売却することを知られる危険があります。
でも、一般媒介契約ならレインズへの登録は義務化されていないので、秘密裏に売却を始められるのですね。
売ったあとローンが残ってしまう場合の対処法
マンション売却において、もっとも注意が必要なこと。
売却後のローン残高です。
売却するまでにローン返済が完済していれば何の問題もありませんが、離婚を前にして、すでにローンが完済状態になっているケースは珍しいです。
もし、ローンの返済が残っていて「売却したお金でもローンが完済できない」という場合は、仮にマンションの購入希望者が見つかっても売却することができません。
なぜかというと、ローン残高が残っているマンションには、銀行の抵当権が設定されているからです。
この抵当権が消滅しない限り、マンションの処分はできません。
もし、売却可能な価格がローン残高を下回ると「オーバーローン」と呼ばれる状態になり、売りたくても売却できないのですね。
ローンが残るマンションの売却について注意点を解説したよ。
離婚原因でマンションを売るときは必ず理解しておいたほうがいい問題だよ。
ローン地獄ですぐ売りたい!ローン残高ありのマンションの売却方法とは?
ローンが残るマンションをどうしても売却したい場合の対処法として、「任意売却」という方法もあります。
しかし、任意売却には、将来的にローンが組めなくなるというようなデメリットも多くあるので、詳しくない人が自分勝手に決めるにはリスクがあります。
できれば一度は専門家に相談してみたほうがいいでしょう。
特に下のサイトは、特殊な悩みで売れない土地の相談に乗ってくれます。任意売却についてもプロの視点からアドバイスをくれるはずです。
離婚原因で共有名義のマンションを売却したい まとめ
離婚を原因にしたマンションの売却で多いトラブルが今回紹介した「共有名義」の場合です。
通常のマンションを売る場合と比較して確かに複雑な仕組みにはなっていますが、最初に共有名義とはどのような状態かを理解すれば、売却に必要な準備と流れが見えてきます。
離婚後の生活を少しでも明るく準備できるように、今回解説した要点をもう一度確かめてみてください。