今回の記事では、土地を売るときの内覧についてお話するよ。
内覧へ売り主が対応したほうがいい理由を詳しくお伝えする。
マンションか土地を問わず不動産の売買では必ず内覧があります。
不動産は決して安い買い物ではないですから。
買主が購入前に現物を見たくなるのは当然です。
買主にとって内覧は、不動産を買うかどうかを決めるためのもの。
売主であるあなたにとっては、買主が買ってくれるかどうかが決まる重要な機会。
それだけに、以下のような悩みに頭を抱えている人は多いでしょう。
- 土地が遠くにあって内覧に立ち会えそうにない。
- だから内覧は不動産会社に積極的に対応してもらいたいと考えている。
- でも、売主が自ら内覧に立会ったほうが有利だと聞いた。
いったいどうすればいいのか?
実は、これは僕自身が土地を売ったときに抱いた疑問なんです。
買い手が見つかるまでは、いろいろなことが初めてだったので疑問ばかり。
土地の内覧についても、自分で対応したほうがいいのか、それともプロの不動産会社へ任せたほうがいいのか迷いました。
最終的には、幸いなことにその土地は2300万円の現金に変わりました。
僕の場合は、やっぱり遠くにあるからというのが理由で内覧には全然対応できなかったのですが、代わりの不動産会社の担当者がうまく立ち回ってくれました。
内覧では売値や引き渡しの条件の交渉も行われます。
不動産売却の経験がまったくない素人が口を出すよりも、たくさんの実績を抱えるプロの不動産会社へ丸投げしてしまったほうがいい場合もあります。
そこで今回は、内覧に立ち会わないデメリットや立ち会えない場合の対策法について解説していきます。
内覧の重要性をまず理解しておくことで、実際に購入希望者が問い合わせをしてきたときのベストな対応方法がわかります。
「内見」と「内覧」の違いについて
まずは不動産用語のご説明から。
内覧と一緒によく耳にする用語で「内見」というものがあります。
内見と内覧、果たして意味に違いはあるんでしょうか?
実は、微妙に違いがあります。
一般的には同じ意味合いで使われる用語なのですが、使い分ける不動産業者もいるので、混乱しないために一応意味の違いを知っておきましょう。
まずは内見から。
内見は「不動産を見学する」という意味で使われることが多いです。
購入を前提に見にくるわけではなく、気軽に不動産の全体像を確認するために現地へやってくるときに当てはまる言葉です。
その一方で内覧とは、「細部まで確認する」という意味で使われることが多いようです。
分譲マンションの購入や賃貸マンションの契約前に行わる言葉で、購入意欲が強いユーザーが確認する際に当てはまる言葉と考えるといいかもです。
ただいずれにしろ現場を見にくる行動を指しているところは一緒です。
現場での物件の見え方や感じ方が、内見希望者、内覧希望者のそのあとの行動へ強く影響します。
内見、内覧、どっちの意味で物件を見にくるかは問わずに、適切な対応をしなければいけません。
内覧に立ち会ったほうがいい「4個」の理由
内覧は買主が不動産を購入するかどうかを決める重要な機会です。
その場に立ち会えないことで、買主に購入の決心をさせるチャンスを失ってしまうかもしれません。
内覧に立ち会うには以下の4つのメリットがあります。
一つ一つをしっかり理解した上で立ち会うか、不動産会社へ任せるかを決めましょう。
- 買主に安心してもらえる
- 買主のリアルな声を集められる
- 価格交渉に対応できる
- 買主の使用目的に合わせた後押しができる
買主に安心してもらえる
不動産売買は数千万単位の取引です。
普段、そんなに大きなお金を動かす機会なんてないですよね。
不動産取引は、多くの人にとって非常に珍しいイベントなのです。
慣れない大きな買い物で一番影響するのが信頼感です。
買主にとって、売主の「人柄」は購入するかどうかを決める大きな要因になるんですね。
だって誰も怪しい人から土地やマンションを買いたくはないでしょう。
売るまでにどんな使い方をしていたのか、近所との付き合い方も気になります。
購入後に物件に壊れたところが見つかったり、買った物件へ引っ越した後、前の住人が残していった因縁でご近所さんと争ったりするのは嫌じゃないですか。
だから売主は実際にあって話ができる買主から物件を買いたいと思っています。
また、買主の多くは内覧の場で売主に質問したいと考えています。
細かな質問にその場で直接答えられる売主が立ち会った方が有利です。
不動産会社に対応を任せる手段もありますが、これまでの物件の使い方や近所づきあいなど売主であるあなたにしか答えられない質問もあるでしょう。
内覧を重視している買主ほど、売主のあなたが現場にいることを望みます。
売主にあれこれこういうことを聞いてみようと期待して内覧に訪れ、そこに不動産会社の営業マンしかいなければ、きっと売主はがっかりしてしまいますよね。
そうさせないために、できるだけ内覧には立ち会ったほうがいいのです。
買主のリアルな声を集められる
買主に直接会うことで、土地に対するリアルな感想を聞けます。
それによって、その後の売却活動を有利に進めるためのヒントがたくさん得られるのです。
例えば、複数の買い手との会話の中で「価格が高くて迷っている」という声があったとしましょう。
現在の売り出している価格では、市場的な需要に合っていないのかもなあと予想ができます。
このような場合は、もう一度売却価格を考え直したほうがいいかもしれません。
また、僕の土地を売ったときによく聞いたのは、「広すぎる」という意見でした。
330坪あったのですが、広すぎて一般の人が家を立てるにはサイズ的によくなかったのですね。
だから、土地を分割して売ったほうがいいんじゃないかと考えました。
価格もそうですが、売り方も市場の需要に合わせた方が有利です。
買い手との直接的な会話のなかには、自分が知らない市場の需要を理解するたくさんのヒントに溢れています。
土地を分割して売るときの方法については以下にまとめてあるよ。
結局僕は分割せずに一括で売ったけど、分けて売却したほうが有利なケースはたくさんある。
ぜひ参考にしてみてほしい。
広い土地を分割して売るには?分筆が必要です。一括売却と比べてみよう
つまりは、買い手と直接合うことで、土地を探している人からのリアルな声を集めることができるわけですね。
たくさんの買い手と会えば、それだけ買い手の好みについて統計を得られます。
市場に求められる方法で土地を売ることが可能になるわけです。
価格交渉に対応できる
不動産会社の担当者には、売り価格や引き渡しの時期などを決める権利はありません。
その権利を持つのはあなたです。
不動産の取引では、必ずといってもいいほど売り価格の交渉があります。
価格交渉が発生するタイミングは売買契約時、そして、内覧のときが多いです。
「2,000万円のところを1,800万円まで値下げしてくれたら即購入します!」という気持ちで内覧に足を運ぶ売主もいます。
そういった際に不動産会社の営業マンしか立ち会っていなければ、即対応することができませんよね。
その場ですぐに売れたかもしれないチャンス。
同席しなかったことで逃してしまうかもしれません。
買主の使用目的に合わせた後押しができる
土地を購入する目的は売主によって違います。
内覧に立ち会えば、実際にその土地を所有してきた者として、売主ごとに異なる購入目的に合わせた「あと押し」が可能になります。
例えば、ある買主の土地購入の目的は、戸建を建てるためだったとしましょう。
土地の所有者は当然、土地まわりの環境について知り尽くしています。
住宅用の土地が欲しい売主に対して、生活の利便性や快適性に影響する近隣地域の人気が高いショッピングセンター、病院、娯楽施設などを紹介することができます。
あるいは、購入後に駐車場経営として活用することを目的としている買主もいます。
土地の所有者なら近隣の交通量がわかるはずです。
まわりにどの程度駐車場が不足しているのかも知っているかもしれません。
こうした駐車場経営に役立つ情報を最後のあと押しの武器として使えるわけです。
購入した土地で店舗経営を考えている人もいるでしょう。
土地があるエリアについて、
小中学校が多く、若い年代層が多い、
周辺にビジネス街があり、中でも30代の割合が多く占めている
などの周辺情報は買主にとって非常に役立ちます。
このような情報を与えることで買主はいっそう購入について現実的に考えるはずです。
このように、土地の所有者の視点で様々な角度から、購入を迷う売主の背中を押せるわけです。
これまで読んできていかがでしたか?
内覧へ売主が立ち会ったほうが売れるのに有利であることが理解できたはずです。
内覧に立ち会う際の注意点
内覧へ立ち会うことは土地の売却を有利に運びます。
でも、ただその場へ行けばいいというわけではありません。
直接の対面が逆に買い手の購買意欲を損なう原因になってしまったという悲しい例もあります。
せっかく買うつもりになっている買い手のテンションを下げないために、内覧では以下の点に注意しましょう。
過度な押し売りはしない
内覧に立ち会えば自然と買い手と会話が生まれます。
その話の中であまりに土地の魅力をアピールしてしまうと「過度な押し売り」と思われることになるかもしれません。
要するにウザがられるということですね。
例えば僕は洋服を買いにいったとき、あまりに店員が勧めてくると欲しい服でも買う気がなくなってしまいます。
こういう人、いませんか?
こうした買う側の心理は、意外と商品が違っても共通します。
今回のような、土地という商品においても、買うことを強くプッシュしすぎると買い手に嫌われるリスクがあるのですね。
買主にとってのメリットを伝える
また、そのプッシュが本当に買い手にとってのメリットを伝えているのか慎重に考えることも重要です。
売主にとってはアピールポイントだと感じる点も、買い手からするとマイナス要素になることがあるんですね。
例えば、
売主のアピール、「購入した当時の坪単価は今より随分高かった。
この土地は本当は不動産価値が大きかった。このタイミングで安く買えるのはお得だよ。」
これを聞いた買主、「昔より価値の下がった土地。これからどんどん価値が下がるのなら、今急いで買う必要はないし、そもそも買わなくてもいいかもしれない」。
こういうアピールポイントの理解のギャップが生まれるわけです。
売主自らが積極的に土地をアピールし宣伝することも大切です。
でも、闇雲に押し売ろうとしてはいけません。
「不快感を与えない居心地の良い距離感を保つ」という点に注意し、適切なタイミングで買主にとってのメリットを伝えましょう。
どうしても内覧に立ち会えない場合の対策
内覧に立ち会いたい、でも土地の場所が遠すぎて毎回は無理。
という人もいるでしょう。
僕がそうでした。
ロケーションやスケジュールの関係上どうしても立ち会えない場合は、不動産会社と「土地の特徴」「売却の条件」などについて完璧に共有しておきましょう。
土地の特徴は、前述したように「買主の使用目的に合わせた後押し」のために必要です。
売却の条件に関しては、価格交渉が行われることを想定して「売却価格の最低ライン」を決めておきます。
内覧の前に、どんな目的で買い手が希望しているのかを把握し、どんな質問がきても答えられるように不動産会社の担当者と頭の中を一心同体にしておくのです。
内覧に立ち会えないなら、特に不動産会社選びが重要
内覧に立ち会えない人。
あるいは、立ち会えても交渉や面談が苦手な人。
こうした人は特に不動産会社の選び方に注意が必要です。
内覧に立ち会えないとき、あなたの代わりが不動産会社の担当者です。
その担当者の接客態度や営業テクニックが悪ければ土地は売れません。
不動産をこれまで売ったことのない初心者がやりがちな失敗。
それは、有名な不動産会社へ任せておけば大丈夫、という気持ちで安易に業者を選んでしまうことです。
大きな不動産会社にもいるんですよ。
関わりたくたくなるほど、うさんくさくて態度がでかい営業マン。
逆に暗くてまったく購買意欲が刺激されない営業マン。
土地が売れるかどうかは営業マンの手腕しだいです。
一度売り出してみればすぐにわかります。
ダメな営業マンだと本当に問い合わせがこないですから。
僕の土地は2人の営業マンを経て売れました。
その2人は違う不動産会社です。
1人目にお願いしたままだと、永遠と売れなかったでしょう。
できる営業マンと出会うための方法はすごく簡単です
ただ複数の不動産会社を比較すればいいだけ。
土地を売り始める前には必ず査定が必要です。
それを複数の不動産会社へ依頼するんですね。
査定額は不動産会社によって違います。
A社は3000万円で売れる。
B社は2000万円で売れる。
みたいに1000万円もの違いがでることもあります。
僕の場合で240万円が違ってました。
あなたはどっちで売りたいですか?
もちろん高く査定してくれたほうです。
複数の不動産会社へ査定すると営業マンの質も比べられます。
査定額が良くて、営業マンの印象も良い不動産会社を選んで売却を任せるということですね。
そんなに不動産会社に知り合いがいないという人も大丈夫。
いまは便利な世の中で、一度のお問い合わせで最大6社くらいの不動産会社に査定してもらえるというサービスがあります。
不動産売却に慣れた人なら普通に利用しているサービスです。
こういうサービスを利用すれば賢く信頼のできる不動産会社と出会えるというわけです。
不動産を売るには、購入希望者の内覧へうまく対応することが当然必要です。
できれば立ち会いましょう。
そして、それ以前にもっと重要なのが不動産会社の選び方です。
立ち会うのはあなただけでなく、不動産会社の営業マンも同席します。
買い手の発掘が得意で、交渉の実績も豊富にある営業マンと出会いたいものですね。