今回の記事は、不動産を売却したときの決算方法について説明するよ。
土地やマンションを売ったあとの正しい代金の受け取り方を理解できるんだ。
土地が売れたら、大きなお金が手に入ります。
もちろん嬉しいけれど、これまで扱ったことのない大金を動かすことに不安を感じる人もいるでしょう。
実は、僕もそうでした。
昨年、相続した土地を2,300万円で売却したのです。
買い手が見つかったときは、もちろん声をあげるほど嬉しかったのですが、そんな大金をどうやって受け取ればいいのでしょうか。
もしかしたら、いきなり買主の気が変わってしまうことだってありえますよね。
支払いの直前で姿を消されてしまったらどうしましょう。
こうして考えると、通帳の残高に2,300万円の記載が現れるのをこの目で見るまでは、心から落ち着くことはなかったです。
ご存知でしょうか?
土地を売ったお金を売主と買主の間で清算することを「決済」といいます。
今回が初めての不動産売却という方の中には、不動産取引における「決済」というワードは聞き慣れないため、どのような行為を示すのかわからない方も多いはずです。
実は、土地の売却に関連する詐欺でもっとも多いのが、決済時に騙されるというパターンなんです。
だから、これから土地、あるいはマンションを売る人は、必ず事前に決算方法についての知識を深めておかなければいけません。
大体の詐欺は、無知につけ込まれることで騙されるからです。
今回は、土地、あるいはマンションを売ったときのお金の受け取り方について、以下の3つを説明します。
- 不動産売却の決済とはなにをするのか?
- 不動産を売ったお金を受け取る時期や場所
- 不動産の決済に関連する詐欺の手口
不動産の売却は、買い手が見つかるだけでは終わりません。
最終的に、代金を受け取って完結します。
決済の手順を失敗したり、詐欺の被害にあったりしないよう、最後まで気を抜かない準備が必要です。
不動産売却の「決済」とは何をするの?
決済という言葉は知っていても、それが不動産取引の現場ではどんな意味で使われているのかを知らない人は多いと思う。
だって僕がそうだったから。
不動産を取引する上で決済というと、以下の2つが行われることを意味します。
- 残代金の支払い
- 所有権の移転
残代金の支払い
決済時には、売買代金の清算が行われます。
買主が売買代金から支払い済みの手付金・中間金などを差し引いた残りの代金(=残代金)を売主であるあなたに支払うのですね。
所有権の移転
残代金の支払いと引き換えに、売買が行われた不動産の所有権が売主から買主へと移転します。
あなたが売った土地の所有権が買主に引き渡されるわけです。
一般的に残代金の支払いと引渡しは同時に行われます。
しかし、買主と売主が共に合意していれば、決済前、あるいは決済後に一定期間空けて引渡しが行われる場合もあります。
決済で行うのは、「残代金の支払い」と「所有権の移転」。
たった2つの行為。
簡単なものと思われがちな部分だからこそ、余計に注意が必要です。
決済には、細かな決まり事や事前に用意しておくべき必要書類などがあり、準備と知識が不足していれば詐欺に遭う危険性もあります。
決済で失敗しないためにも、次から説明する決済の流れについてまずは理解しておきましょう。
決済の時期。不動産を売ったお金はいつ受け取るの?
不動産売買における決済のタイミングは通常、契約の最後です。
以下は、一般的な不動産取引の流れです。
- 売却の相談
- 査定依頼
- 対象不動産の調査
- 媒介契約の締結
- 売却活動開始
- 売買契約
- 不動産引渡し準備期間
- 決済・引渡し
- 現金
- 小切手
- 銀行振り込み
- 司法書士
- 不動産業者
- 金融機関の担当者(買主が住宅ローンの場合・売主に抵当権抹消などがある場合)
ご覧の通り、不動産売買の決済は売却手順の中ではラストの項目にあたります。
売買契約から決済・引渡しまでは数日間というわけではなく、基本的には約1ヵ月間の期間がかかります。
また、決済日は、銀行の融資の関係や同日中に法務局に所有権移転登記などの申請を行うため、「平日」に行われることが多いです。
所要時間はおよそ1時間程度ですが、多額の金額が動く取引ということもあり何かしらのトラブルが起こった際のために、午前中に行われることが慣行的になっています。
そのため、平日企業勤めの方は、有給などを活用して1日がかりで対応できるように備えることをお勧めします。
決済の方法。不動産を売ったお金はどうやって受け取るの?
不動産売買時の決済の方法は、以下の3種類があります。
これらの決済方法の中で、もっとも安全かつ確実な方法が「銀行振り込み」による決済方法です。
なぜかというと、銀行振り込みによる決済は「金融機関の領収書」という証拠が残るからです。
不動産の売買では、数千万円単位の高額な取引になるため現金で決済を行った場合、行き違いなどの理由で代金受領に関するトラブルが起こる可能性が高いんですね。
そのため、確実に証拠として残る銀行振り込みによる決済方法が安全だといえるわけです。
小切手による決済方法は、特に不動産取引になれていない人は要注意です。
本物の小切手を見たことがある?
僕は恥ずかしながら一度もない。
もし偽の小切手を掴まされてもわからないよ。
小切手を扱った経験のある人が少ないことを狙って、使用不可の小切手を使用するという詐欺の手口があります。
仮に小切手が本物だとしても、小切手には「不渡り」という仕組みがあります。
不渡りの小切手は、現金化できません。
もしも、買主から小切手で支払いたいという要望があった際は、このような詐欺のリスクを承知した上での判断が必要です。
決済の場所。不動産を売ったお金はどこで受け取るの?
決済の場所は、銀行または不動産会社の事務所で行われることが一般的です。
買主と売主を仲介する不動産業者が同一である場合は、その不動産会社の事務所で行われる可能性が高いです。
もちろん銀行で行われるケースもありますが、その場合は「買主の指定先銀行」が優先的に選ばれます。
その理由としては、支払う買主側のリスクが高いと考えられているからです。
したがって、事前に買主や仲介業者と入念に打ち合わせを行うなどの対応を取ったほうがスムーズに進められるでしょう。
ちなみに僕は、土地の現住所近くの地銀で決済を行ったよ。
2千万円を超える大金を受け取るために、特急を乗り継ぎ3時間。移動中は生きた心地がしなかった。
決済で立ち会う人
決済当日は買主・売主の他にも、以下の人が立ち会うことになります。
司法書士は、売買対象となる不動産や当事者の意思、その他必要な書類などの確認と各当事者に説明を行います。
また、事前に用意した登記の書類(登記原因証明情報・委任状など)への署名・捺印を当事者に行わせます。
各段階でのチェックが完了し、司法書士が間違いなく登記できると判断すれば決済が始まります。
つまり、司法書士は不動産登記などに関する専門家なので、司法書士がいないと売買契約が成立しないことになるのですね。
不動産業者の役割は名前の通り「仲介」です。
スムーズに決済が行えるよう売り買いする当事者のサポート役を担っています。
決済に必要な書類
不動産売買の決済には、以下の書類準備が必要になります。
登記済証・登記識別情報
不動産に関する権利者やデータなどが詳細に記載されており、司法書士への提出が必要です。
実印
登記を行うための書類が複数あるため、登記関係の書類への押印が必要となります。
印鑑証明証
上記実印の登録を証明するための書類で、司法書士への提出が必要です。
固定資産税納付書
その不動産に係る固定資産税が明記されており、固定資産税清算のために買主と確認します。
公共料金精算領収証
電気・ガス・水道など公共料金の明細です。こちらも固定資産税納付書と同様に日割り計算のため買主と確認します。
管理規約・建築確認通知書など
マンションの規約が記載されているもので、決済日当日に買主に渡します。
登記費用(抵当権抹消登記などがある場合)
抵当権抹消を行う場合などは、決済日に登記費用が必要となります。
要注意! 決済がらみの詐欺の手口とは?
決済方法の項目でもお伝えしましたが、売買代金を「小切手で支払いたい」と要望された場合は注意しましょう。
決算がらみの詐欺で最も多い手口です。
使用不可の小切手を使用して、売買代金を受け取れなかったというケースが存在します。
一般の人には、渡された小切手が「本物かどうか」の区別が難しく、また例え本物であっても「不渡り」という仕組みで簡単に使用不可にすることが可能です。
決済に関する詐欺に遭わないためには、必ず決済方法を「銀行振り込み・現金」で行うようにしましょう。
権利書のような、所有権の引渡しを決める重要な書類を決済前に渡さないことにも注意してください。
売買契約が成立したら、売主から買主へ登記の変更を行うことになります。
不動産の所有権を買主へ引き渡すわけですね。
しかし、権利書などの書類を先に渡してしまうと、この登記移転が正常に行われず、勝手に登記を変更されてしまう詐欺が発生することがあります。
このような詐欺を避けるには、決済のタイミングで、権利証や登記識別情報通知証を渡すようにすることです。
不動産売却の決済方法 まとめ
土地でも家でも、売却してしまうことは、誰でも経験するものではありません。
大きなお金を動かすことに慣れていないと、不動産の売却を締める決済が不安になります。
しかし、今回お伝えしたように決済の流れ、決済に関わる詐欺の手口について知恵を付けておけば、もう安心ですよね。
決算が終われば、苦しかった売却活動も終わりを告げます。
ハッピーに終われるように、最後の詰めである決算について、再度振り返っておきましょう。