家付きの土地を売るとき、更地にするかどうか迷った。
結論から言えば、解体費用は自腹を切ったことになったけど、それでも更地にしてよかったよ。売れたからね。
更地にすると固定資産税が増えるというデメリットもあったけど、家付きのままだともっと売却に期間がかかっただろうし。
ただ全員が土地を売る前に更地にすることは勧めない。更地にして不動産を売却することのメリットとデメリットは、土地とその上に立つ家の状況によるからだ。
そこで僕の更地にした土地を売った経験を書いていこう。
家屋を解体し更地にして売却を始めることのメリットとデメリットがわかる。売却を依頼した不動産屋が証言する、更地にすべきかどうかの基準も紹介する。
参考になれば幸い。家付きで土地を売るのは、困難が多いけど。更地にするかどうか決心するためのヒントになればいいな。
家付きの土地を売却するときは更地の方が売れる?
僕もまったく同じことで悩んでた。
特に僕の土地は宅地で商業利用が無理だったから。富山県の高岡市という小さな町のさらにへんぴな外れにあった土地でね。
例えばコインパーキングやマンション経営なんか、あこがれたな。でも、そんな利用価値がない土地だった。
土地の上には、ひいおじいちゃんの代から立つ古い家屋が存在してて、僕も小さい頃は夏休みや正月にそこで過ごすことを楽しみにしてたんだけど、売ることきには完全に邪魔モノになってた。
更地にした方が買い手が早く見つかるし、売却価格ももっと高くできるだろうと不動産屋に解体することを勧められたよ。
でもいくら高く売れても、解体費用を僕の方で負担するならあまりお得感はしないよね。
建物を取り壊して更地にすると固定資産税が増えると聞いていた。正直言って、売れる可能性を感じていない土地だったので、長く売れず、増大した固定資産税を負担しつづけることになったらどうしようと、すごく不安だったよ。
ところが売れた。更地で売り出したところ、勢いよく売却成功。
やっぱり不動産のことは不動産屋が一番わかってるとそのとき思ったんだ。
不動産屋を見つけた方法はネットの一括査定だった。初めて査定を依頼したときから他の不動産屋よりも熱心で、査定額の根拠や売り出し方の戦略を丁寧に教えてくれた。
一括査定のメリットは、なるべく査定額が高い不動産屋を見つけられるというのもあるけど、複数の中からもっとも信頼できる、不動産の売却を心底任せられるパートナーを探せるというところにもある。
僕は良きパートナーを見つけられたということだな。
結局、ほかの不動産屋の査定より220万円高く売れた。解体費用には270万円かかったけど、査定の時点で得したお金のことを考えれば、それほど痛くない。
なにより売却期間中の不動産屋とのやりとりが、スムーズだったところがお値段以上の満足感と安心感だった。遠方に住むためメールが主な連絡手段だったけど、常にどんな宣伝営業をしているか報告してくれたよ。
だから、解体して更地にするかどうかは、プロの不動産屋と一緒に相談して決めるのがいいと思う。もちろん信頼できる不動産屋を見つけておくことが前提になるけど。
僕が不動産屋に更地を勧められたときに説明された解体のメリットを共有しておく
更地にした方が購入希望者は増える
更地の方がより多くの買取希望の人たちに出会えることを最初に言われた。
余計な建物がない方が土地の使用用途が広がるから、買い手にとっては買いやすい。
買ったあと住みたいなら、自由に自分好みで設計した家を建てられる。飲食店や美容室のような商業施設を建てて商売を始めることも、マンションやハイツのような集合住宅を作って住人を募集することも可能だ。
僕の土地はあいにくそんな商用利用は当てはまらなかったけど、新しく土地の所有者になる人しだいの土地購入の目的に対応するには、やっぱり土地の上にそびえる建物は不要だ。
幅広い用途で利用できる状態の方が買い手も購入を検討しやすい。更地にしよう、売れる機会が増えるから。つまりは、これが不動産屋の言い分だった。
ボロボロの空き家の存在は周辺住民にひどく迷惑
我が家系を歴代引き継がれてきた家はもうボロボロで、幽霊屋敷と呼んでもいい状態だった。
土地は当時住んでいたところから遠く離れた富山県にあったから、メンテナンスや防犯上の見回りなど、面倒を見にいくことはできない。
さすがにボロすぎて、何も盗むものがない家だったけど、いたずらで放火されたりしたら、ご近所さんに大きな迷惑をかける。ホームレスの住みかや不良の溜まり場になってしまう恐れもあるし。
更地にしてしまえば、お化け屋敷へのご近所さんの不安は消える。
もちろん先祖代々が過ごしてきた家だから壊すことにためらいはあった。けど、どうせ売ることにしたんだから、周辺住民に迷惑をかけない形に早くしておいた方がいい。
更地にするための解体費用は自腹で負担した
この解体費用をデメリットに感じて、更地に踏み出せない人は多いだろう。
家が残ったままで土地を売り出して、更地にする費用は要相談という方法もアリらしい。購入希望者と交渉時に、全額、あるいは一部をどっちで負担するかを決めるやり方だ。
もし売りたい不動産自体に人が欲しがる価値があるなら、この方法でも売却が決まりそうだけど、僕の土地は、本当に使えないところにあったからね。
あんな土地誰が欲しがるのだろう、まして家なんて付いてたら誰も欲しくないよ。
この言葉に尽きる。だから、もう解体費用は売るための経費なんだと割り切って、自腹を切ったよ。
更地にすると固定資産税が倍増する
長く更地にしなかったのには、いちおう賢い理由もあった。ボロボロの家でも土地の上に存在していることで、固定資産税の節税ができるから。
建物の敷地として使われている土地は、1/6から1/3まで固定資産税を割引できる特別な処置方が利用できる。更地にしてしまうと、もうその特例は適用されない。結果、固定資産税の税額が激増することになるんだ。
だから更地にしたら、できるだけ早期に売却を成功させなくちゃいけない。増えた固定資産税のせいで、売れない期間はますます損することになるからね。
更地にするかどうかの基準
建物を解体するかどうかは、僕みたいなケースなら、更地にしてしまったほうがいいだろう。住む価値がないほど建物が古い場合だ。
古さの基準としては、築20年が一応の目安と言われてる。木造戸建ての住宅は、築20年で査定額が0円と評価されるからだ。
最近は耐震性を重視する買い主が多い。昭和56年より前の家は古い耐震性基準で建てられてるから耐震性が心配。購入希望者には好まれないから、壊してしまった方が売れやすい。
ただ日本の家を建てる技術はすごいから、古いだけを理由に更地にするのはもったいない。築30年でも、ぜんぜん住める家もあるからだ。
住める家なら、次に住む人が自分勝手にリノベーションするという方法もある。特に古民家のリノベーションは魅力的。僕の地元は京都。京都ではよく古民家がリノベーションされて、ゲストハウスやカフェに変身する。
京都では古民家を町家と呼ぶ。町家旅館、町家バー、商業施設だけじゃなく、町家をうまくリフォームして住む人もいる。
残念なことに僕の土地に立つ家は、古すぎる、住めない、利用価値なし、と三重苦を患ってたから、もう壊すしか選択肢がなかったんだけどね。あの土地が京都にあれば……なんて考えても仕方のないことなんだけど。
更地にするための解体費用
更地にしたときの解体業者からいただいた請求書と領収書を見てみた。解体費用は2,727,480円だった。高いよね。
解体費用は坪単価で見積もるのが普通。目安としては以下の料金表くらい。
木造家屋 | 3から4万円/坪 |
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鉄骨 | 4から6万円/坪 |
坪単価の額は、業者ごとに開きがあるから、必ず依頼先を決める前に相見積を取ること。
見積の出し方も業者によって個性がある。ざっくりと概要だけが記された見積書。内訳まで細々と記してくれている見積書。
注意したいのは、何がどこまで見積もりの費用に含まれているかを忘れず確認することだ。
内訳が細かく説明されていれば、費用に含まれた作業の範囲を把握できる。けれど、内訳がざっくりしていると、料金に塀や車庫など家屋以外の解体費用が含まれていないこともある。
解体が終わり、家を壊したゴミをどう処理するか、ごみ処理の料金はだれが負担するか。こういうことも見積書に書かれていない場合がある。
解体業者を決めるときは、単に解体料の高い安いを比較するだけじゃダメ。必ず料金に含まれる解体作業の中身を比べて、信頼できそうな解体屋を選ぼう。
僕は、不動産屋が仲の良い解体業者を紹介してくれた。それでも裏で相見積もりは取っておいた。これは不動産だけじゃなくて、どんな商売でも鉄則。業者を比較することで、料金を得するだけでなく、質の良いサービスを受けられるから。
更地にどうしても踏み切れない場合
売り出しを依頼する不動産屋の対応にもよるけど、中古物件と土地物件の両方で売り出しを始めることもできるみたい。
リフォームを前提にした家付きの土地と、更地にすることを前提とした土地、二種類の売却方法を並行して進める方法だ。こうすることで、売る相手としてのターゲットが広くなるよね。
でも、土地だけを探してる人にとっては、残ってる家の解体費用が気になるのは理解しておこう。土地購入後に発生する解体費用の分だけ、売却価格の割引を求めた交渉が起こることに、あらかじめ準備しておかなくちゃいけない。
そのためには、解体費用をあらかじめ見積しておくことは絶対。最終的に手元に残したい売却益がいくらかを明確にしておいて、そこから逆算して売り出しの価格を決める工夫がいる。
不動産の売り出し価格は、更地にするかしないかという売り出し方法と一緒で、素人判断は危険。必ず信頼できる不動産屋と相談して、早く高く売るための値段を決めるのがいい。