土地の値段が、査定する不動産業者でめちゃくちゃ差が出るのは、まぎれもない事実だ。
僕の場合でいうと220万円もの査定額の違いがあった。
運がいいことに、僕の土地は査定額どおりに売却できた。もし安い査定額の方の不動産屋に依頼してたらと考えると冷や汗が出る。
危なかったよ。だって220万円も損するところだったから。
だからこれから査定する人は肝に命じてほしい。
不動産の査定は、絶対に複数の不動産会社へ依頼するんだ。
中には「断りにくいから」という理由で、いくつもの不動産屋に査定を頼むことを遠慮する人がいる。
そんな必要はまったくない。
堂々といくつでも査定を頼めばいい。うまく断る方法はある。あとで教えるから覚えておいてほしい。
断り方より僕にとっては、いちいち査定の度に同じ土地の情報を業者に伝えることのほうが面倒だった。だから一括査定を利用したよ。
一括査定は、一度の手間で複数の業者から土地の査定額と売り出す方法を提案してもらえる。
簡単に相見積もりできる方法だ。
査定額が安いか高いかはもちろん、どんな方法で売却を成功させるつもりなのか、その筋道も詳しく聞けるので、正しい不動産業者を選びやすい。
でも、なぜ業者によって査定額に違いがでるんだろう?
確かに謎。同じ土地なのに坪単価や売却価格が変わるのは、査定の方法が業者で変わるから?
不思議だよね。
そこで今回は、僕が直接不動産屋に確かめてきたことをまとめる。
- 不動産の査定額が業者ごとに異なる理由
- 査定額が高い不動産屋を選ぶとやばい?
- 査定額では土地は売れない理由
- 信頼できる不動産屋の選び方
こういうことを書いていくよ。全て、土地を早く高く安全に売るための必須知識だ。
不動産屋の査定方法の裏側を知るのは面白いし役立つ。
だから、ぜひ最後まで読んでみてほしい。
どの不動産屋が自分の土地を早く高く売ってくれるのか見極める方法が分かるし、売る値段を決めるときの交渉もしやすくなるよ。
2,000万円で、売れそうになかった田舎の土地が売れた理由
一言でいえば、複数の不動産会社の中からベストな業者を選んだからだ。
土地を売る条件を振り返ると、よく売れたと思う。
330坪、交通の便が悪く、宅地で商売はできない。
土地を分割して売る方法を分筆という。分筆は禁止で一括で土地まるごとを買い取ってくれる人を探した。
広すぎて使い用途のない土地。そんなのが売れたのは、本当に不動産屋に力があったからだと思ってる。感謝してる。
でも、最初の不動産屋はダメだった。
土地を売却するという経験が初めてだった僕、不動産屋の選び方も知らなかった。
同じように不動産の売却が未経験の人にはわかってもらえるだろう。
わからないことが多すぎて、最初は何から手をつけていいのかわからなかった。
そこに、たまたま現れたのが土地近所に住む不動産屋のオジサンだった。
地元で30年間一人で不動産屋を営んできたその人。土地近辺の事情をよく知り、祖父母とのつながりもあったから、「この人でいいや」と特別な理由もなく土地の売却を依頼した。
結果として、この選択は大失敗。売れる気配がぜんぜんしないまま時間だけが過ぎた。そして別の業者へ依頼することに。
今となってはそのオジサン経由で売れなくて良かった。なぜなら、売り出した価格が、このあと依頼する不動産業者よりも220万円も安かったからだ。
もしこのオジサンで売れてたら220万円を損したことになる。
だから本当に強調したいのは、ひとつの不動産会社を信じ込んで売却を依頼するのは危険すぎるということ。
それと、もう一つ。
不動産の査定方法について最低限の知識は身につけておいたほうがいい。
最初は査定額がこんなに業者ごとに違うなんて知らなかった。
査定額だけじゃない。不動産を売却するための営業活動の方法も不動産会社によってぜんぜん違う。
複数の不動産会社から正しい知識で一つを選ぶから、「信頼できる不動産会社」を見つけられる。
信頼できる不動産会社は売却ノウハウ、判断力、交渉力がある
不動産会社の信頼性とは、プロならではの「売却ノウハウ」を備えていること。
素人では判断できない売れる可能性のある査定額を導く「判断力」。
それと、売却途中に購入希望者とうまく成約をまとめる「交渉力」。
これら3つを極める不動産屋こそが、売却を任せられる不動産屋だ。
こうした信頼できる不動産会社を見つけるためには、複数の業者に査定依頼することが前提。
繰り返し言ってるけど220万円もの差だよ。
不動産会社によって本当に査定額は違ってくる。試してみたらいい。売ったあとを考えると、絶対に損はしない。むしろ得するから。
しつこい不動産屋の営業が嫌な場合はどうすればいいの?
強気で断りの声を聞かせるだけだ。
不動産の査定を依頼するために直接不動産会社へ行ったときは、まずアンケートを記入する。アンケートには名前や住所などの個人情報を書く。
ここに「連絡方法」を記入する欄がある。電話かメールを選ぶとき必ずメールを選ぼう。その方が断りやすいから。
査定だけで不動産会社を訪れたなら、査定以外の連絡はしないでほしいことも書いておこう。
「以前、不動産会社にしつこく営業されて困ったことがある」など何でも結構。
これだけで不動産会社と約束を交わしたことになるから、しつこい営業連絡を抑制できる。
断ったにも関わらずしつこく電話営業、あるいは訪問営業してくる業者のは、宅建協会に報告しよう。宅建協会が対処してくれる。
どうしても弱気になってしまって、不動産屋を断ることに自信のない人は以下の記事も読んでほしい。断りにめちゃくちゃ効果的な魔法の一言を教える。
不動産の一括査定あるある、しつこい電話営業を断る方法とは?一言で効く断り方
業者間の個人情報の共有はどうなっているの?
業者へ査定を依頼するときに教える個人情報が漏れたり、他の業者間で使いまわされたりしないか心配だった。
不動産屋へ本当のところどうなのと質問すると、いまは個人情報保護法でしっかり個人の情報は守られているということ。複数の業者に依頼しても、心配してる問題は生じないと回答があった。
それでも、ときどき大企業から個人情報の漏洩があったというニュースを目にしたり、名簿屋とかいう個人情報の転売で稼ぐ悪徳業者の噂を聞いたりするから100%安心はできない。
査定を依頼するときは、できるだけネームバリューのある有名な会社へしておいた方がいい。
不動産査定には「無料」と「有料」がある
大前提として、不動産会社に査定してもらうのは基本的に「無料」だ。
無料で行われる査定こそが『不動産査定』だ。
不動産査定は、査定を頼んだ不動産会社が土地の売却条件やよく似た過去の取引実績などを参考にして算出される。
一方で、国家資格を持つ不動産鑑定士が鑑定する「有料」の査定方法がある。「不動産鑑定」という。
不動産鑑定は、不動産鑑定評価基準から算出される正確な評価だ。
不動産鑑定士が鑑定する場合は、主に「法人関係の不動産取引」「遺産相続」「賃料や立退料関係」といった特別な事例のときに行われる。普通に土地を売りたい人には関係のない査定方法だ。
不動産査定の「机上査定」と「訪問査定」の違い
不動産会社の査定には「机上査定」と「訪問査定」という2種類の査定方法がある。
机上と訪問の違いを説明する。
机上査定
机上査定とは、文字通り、机の上で査定する。実際に不動産がある現地には訪れない。
査定の仕方は、データのみから簡易的に「これくらいで売れるだろう」という値段を算出する。
簡易的な査定だが、多数の取引実績から査定額を算出するので、実際に売れた価格からめちゃくちゃ離れることはない。むしろ、めちゃくちゃ離れた査定をするような不動産会社は信用ならない。
僕のケースでいうと、不動産会社の交渉力も影響しただろうが、査定額そのままで売れた。
訪問査定
こちらも文字通り。実際に不動産のある現地を訪れ査定する方法だ。
机上査定で使用するデータに加えて実際に現地を訪れ、現地状況も加えて査定額を算出する。
「土地の上に高電圧線があって査定額が下がった」
「土地の形状が良くて査定額が上がった」
こうした現地状況は、机上査定ではわからない。現地を訪れることで机上査定より査定額が下がることがあるけど、現地の情報を組み入れたより適正な価格になる。
売却に本気で早く移りたい人は、早めに訪問査定をしてもらったほうがいいだろう。
「査定価格≠売却価格」。査定どおりの値段では土地は売れない
僕は運が良かったのかな。
いや、査定額を見積もる眼力、物件を宣伝する販促力、購入希望者と成約をまとめる交渉力、この3つに優れた不動産会社を選んだからだと思う。
普通は、査定額どおりに土地が売れることは珍しい。
だいたいは査定額より安く売値は決着する。
土地の値段は、段階ごとに以下の4つに分かれるんだ。
- 相場
- 査定額
- 売却価格
- 成約価格
相場 → 査定額 → 売却価格 → 成約価格
こういうふうに値が動く。4段階の値段の違いを知っておくといいよ。
売れそうもない高値で売り出して売れ残ったり、逆に安すぎる値で売り出して損する失敗がなくなるから。
相場
所有してる土地を売却したいとき、まずは、その土地が「だいたいいくらくらいの値段で売れるのかなあ」ということが気になるよね。
僕は不動産の検索サイトをまず調べた。売る土地の近くの物件がいくらくらいで取引されてるかを見てみたんだ。それでだいたいその近辺の土地がいくらで売られているのかを知った。
これが土地の相場だ。
査定額
相場を知ったあとは、具体的に不動産屋はいくらの値を付けるのが知りたくなる。「できるだけ高く売りたい」と思って、実際に不動産屋へ見積を依頼する。
それで得られる金額が査定額だ。
売却価格
査定額はあくまで不動産屋による土地の評価額。
実際に売り出すときは、売り主の意見と不動産屋の意見を交換しながら、さらに売却を成功させられる値段へと調整する。そして売り出す値段が決まる。
これを売却価格という。
成約価格
売却価格で売れれば最高だ。でもそうもいかないのは、購入希望者との交渉が入るからだ。購入希望者との交渉しだいでは、売却価格の値下げが起こる。
結果として、売買が成立した価格を成約価格という。
「相場 > 査定額 > 売却価格 > 成約価格」の法則
売り出した不動産がなかなか売れず、仕方なく売却価格を値下げすることもある。こうしたときも売却価格より成約価格が下がる。
一般的には、「相場 > 査定額 > 売却価格 > 成約価格」の順で値段が下がる。
それもそうだ。相場はしょせん僕の勝手な「これくらいで売れたらいいなあ」という希望観測値にしか過ぎない。
査定額にしてもそうだ。本当に売れた額ではない。不動産屋の査定が思いの外高かったとしても、喜びすぎないこと。
査定額は不動産会社が「この価格でなら売れるかもしれない」という価格だ。不動産市場の競争が激しい時期になると査定額より下げないと売れない率が高まる。
土地を売り出した限り、売れないと意味がない。売却期間が長引けば、固定資産税の蓄積が痛い。あまりに長く売れないなら、思い切って価格を下げることもしなくちゃいけない。
そしてついに購入希望者が見つかり売却期間は幕は閉じる。成約価格が査定どおりなら、なんてラッキーなのだろう。不動産屋の働きに感謝だ。
なぜ、査定額に違いがあるのか?
同じ土地でも不動産会社の査定によって価格がばらつく原因は2つある。
- 業者要因
- 個別要因
業者要因と個別要因の違いはこうだ。
業者要因
過去に不動産を取引した事例データと顧客データの詳しい情報を持っているかいないかで査定額は変わる。この業者のデータ力による査定額の違いを業者要因という。
土地の条件だけで判断するなら、不動産会社の査定額にあまり違いは出ない。
でも、不動産会社によって得意/不得意があるよね。
中古マンションについて強い販売網を持つ会社なら、強気に一般市場よりも高い査定額でマンションを売り出せる。
土地を欲しがってる顧客をたくさん抱える業者なら、高く早く土地の売却を決着できる。
こうした独自の実績や販売網が不動産会社によって違うから、査定額にも差が現れるというわけ。
個別要因
個別要因は、査定の担当者の価値観によって査定額が変わってしまうことをいう。
査定額は「このくらいの値段で売れるかもしれない」という目安を提示しているため、担当者の価値観で左右されることはよくあるんだ。
冷静で現実主義の担当者なら無難な値段を付けるだろうし、楽天的で夢見がちな担当者なら強気な値段を付けるかもしれない。
土地を売るのも人の仕事。人の性格や価値観が査定額に現れてしまうのは仕方ないし、今までどれだけ不動産業界で活躍してきたか、売ってきたかという個人的な自信と経験も値付けに影響するだろう。
査定額が高すぎる業者を選ぶと失敗する理由
不動産会社によって査定額が違う理由で、もう一つ重要なことを言っておく。
査定額には、媒介契約を取りたい不動産会社の思惑も込められている。
悪徳な不動産会社は、なにがなんでも媒介契約を取りたいものだから、わざと査定額を相場よりも高く設定する。
査定の依頼主は、相場よりも高い査定額に気を良くして、さっさと契約を結ぶ。
ところが、いざ売り出してみるとぜんぜん売れない。購入希望者が全く現れないのだ。
それも当然。相場よりも高すぎる不動産を書いたがる人はいない。結局、売却期間中に値下げを行い、成約価格は相場よりもだいぶ下がった金額になってしまった。
こういう詐欺まがいの手法で媒介契約を取ろうとする悪質な不動産会社も存在する。
査定額が相場と比較して適切かどうか見極めなくちゃいけない。
信頼できる不動産屋の選び方
複数の業者へ査定を依頼したら、査定額と不動産屋の営業方針を比較する。今後売却を任す不動産屋を決めるためだ。
選び方のポイントを説明していく。
査定額の根拠を説明できる不動産屋を選ぶ
さっきも言ったように、不動産業者によっては、査定額をふっかけてくるところがある。わざと高い査定額を付けて、お客を釣ろうとしているわけだ。
逆に、自信がないのか安すぎる査定額を付けてくる業者もいる。
高すぎる、または、安すぎる業者には注意し、査定額にはちゃんと根拠を求めよう。なぜ、この査定額になったのかを聞くわけだ。
過去の販売実績や売却ネットワークなどを持ち出し、明確な根拠を説明してくれる業者ほど安心して任せられる。
なんとなくの値付けだと感じる業者は当然避けたほうがいい。
宣伝方法と効果を説明できる不動産屋を選ぶ
査定の根拠と一緒に忘れず聞いておきたいのが、売却を成功させるための作戦だ。
不動産の特徴や売り出す条件によって、相性の良い宣伝方法がある。
地域密着で売れそうな不動産なら、近所へのポスティングやちらしの配布で買い手が見つかるだろう。
でも、近辺だけでは売却が難しそうな特徴を持つ不動産なら、全国的に購入希望者を見つけられるネットでの集客も必要だ。
不動産会社によって、力を入れている宣伝活動の方法が違う。査定額の高さと一緒に効果的な売り出し方を提案してくれる業者を選ぶんだ。
コミュニケーションの質が良い不動産屋を選ぶ
査定額が決まったあと、土地をなるべく高く、そして早く売却するためには不動産会社との「コミュニケーション」も重要。
査定価格の説明が「事務的」「いい加減」だと感じるような不動産会社の場合、売り出しているときの意思疎通が疎かになる。
僕の失敗例を出そう。最初に依頼した、結局売れなかった不動産会社はメールでの連絡ができなかった。
近所まわりが主な営業活動だったから、会うか電話でも事足りたのだろう。でも、僕は売却予定の土地から遠く離れて住んでいた。
不動産屋からの相談が手紙入りの封書で届けられたこともあった。メールにしてくれないか頼んだら、メールは届いているかどうか不安だし、文字を打つのに時間もかかるから、嫌なんだとさ。
こうした例は珍しいかもしれないが、売却を成功させるには、売却担当者との密なコミュニケーションが絶対不可欠。
コミュニケーションの質も比較して、信頼できる不動産会社を見極めることが大切だ。
「売却」を得意にしているが不動産屋を選ぶ
「不動産会社」とひとくくりにしても、会社によって事業内容は異なる。
「売買」に力を注いでいる不動産会社。
「仲介」に力を注いでいる会社。
この2つでは、広告活動の範囲や社内方針が全くの別物なんだ。
査定を依頼しようとしている会社が、どちらを得意にしているかは、直接聞いてみればいい。
「じつは、うちは売却が苦手なんです」と正直に告白する業者はいないだろうけど、過去の実績を教えてくれたりする。
過去の実績を参考に、売却価格や宣伝方法を不動産屋と一緒に練り込むのは、あとで納得のいく売却活動になる。
不動産の査定に遠慮はいらない
結局、土地を売るのは不動産屋の仕事だ。不動産屋の腕によって、売れる期間と価格は変わる。
であれば、できるだけ腕のいい不動産屋へ依頼したい。腕のいい不動産屋へ出会うには、複数で査定すること。これが正解。
何度も言うけど、本当に不動産会社によって査定額が違うんだ。
査定をしてみれば、金額だけじゃなく態度の違いにも驚く。
丁寧に色々な資料を提示して査定額の根拠や売却戦略を説明してくれる業者もいれば、金額だけの提示で終わる雑な業者もいる。
複数の業者で査定をしていなければ、知らずに後者の雑な業者へ依頼してしまっているかもしれない。
一生に一度あるかないかの土地売却を失敗で幕を閉じないよう、かならず複数の業者を比べてほしい。