ハーリーハーリー

今回は、土地の売却に関連する詐欺の手口を紹介するね。
詐欺に遭わないための防御方法もお伝えするので、特に初めて土地を売る人にとって役立つ内容になっているよ。

初めての土地売却には、色々な不安や悩みがつきものですよね。
特に、大きなお金を動かすことに慣れていない人にとって、何千万もの大金をやり取りする不動産取引は恐ろしく感じるものだと思います。

実は僕もそうでした。
昨年、相続した土地がやっと売れたのですが、売り出す前はとにかくなんでも不安で、親身に相談に乗ってくれている不動産会社の担当者のことまで詐欺師に見えるくらい、すべてのことを疑っていました。

  • 土地が勝手に安売りされたらどうしよう
  • 権利書を奪われたらどうしよう
  • 土地を知らないうちに転売されたらどうしよう
  • 土地を売ったお金を誰かに横取りされたらどうしよう

こうした、たくさんの「どうしよう」が頭の中に浮かんできて、気持ちは不安でいっぱいでした。

確かに不動産売買では詐欺に遭う危険性があります。

でも、土地売却の流れと詐欺の手口をしっかり理解しておけば、そんな詐欺には遭わなくて済むんですよね。
僕が必要以上に不安を感じていた原意は、僕の勉強不足にあったわけです。

実は、不動産売買の流れをしっかり理解しておくだけで、不動産詐欺は避けられます。

今回は、そんな不相談詐欺を防御するための知識と方法について、詳しくお伝えしていきます。

土地売却の流れをまずは理解しておこう

多くの土地売却の初心者が、無駄に詐欺を怖がってしまうのは、僕がそうだったように、知識の不足が原因です。

詐欺の手口を知る前に、「土地売却の一連の流れ」について理解しておくようにしましょう。
そうすることで、不動産会社の業務に怪しいところがあると、すぐ気づくことができます。
違和感に敏感になることで、詐欺への対処も早急に行えるということです。

一般的に土地を売る流れは以下の手順で進みます。

  1. 境界杭の調査
  2. 地積測量図と実測図の確認
  3. 土地の査定
  4. 不動産会社と媒介契約の締結
  5. 売り出しの開始
  6. 購入希望者の対応
  7. 購入希望者との交渉
  8. 売買契約
  9. 引渡し

1. 境界杭の調査

土地を売却するためには自分の土地の範囲を確定しなければいけません。
でないと、売ったあとに買主と揉めるリスクがありますからね。

例えば、買主が「もっと広いと思っていたぞ」なん、売ったあとに土地の面積に関してクレームを付けてくる恐れがあります。
それを防ぐために土地の広さをしっかりと明確にしておく必要があるわけです。

土地の範囲を決めるには、「境界杭の調査」を行います。
境界杭とは土地を区切っている印のことです。
土地の範囲を示す役割を持っています。
もし仮に境界杭が見当たらない場合は、新たに境界杭を打つための測量が必要になるのですね。

2. 地積測量図と実測図の確認

測量をした場合は、測量を行ったことを証明するための「地積測量図」と「実測図」が必要になりますよ。
この2つの図が用意できなければ売却に移行できないので注意しましょう。

ハーリーハーリー

境界線や測量については以下の記事で詳しく説明しているよ。
土地の広さで、売買後に近所と揉めるトラブルは多い。
今のうちから備えておこう。
土地を売却するために測量は必要なのか?費用や依頼先も教えて

3. 土地の査定

査定とは、土地を売りにだす価格設定をすることです。

土地の査定は不動産会社に依頼してやってもらいます。
基本的に査定自体は無料です。

査定は、できれば複数社に依頼しましょう。
1社だけに依頼した査定では、その査定額が適正かどうか判断できませんよね。
比較の対象がないからです。
少なくとも3社くらいには査定を依頼し、査定額を比較しましょう。
それで、土地の相場が正しく把握できます。

僕は最終的に2社の不動産会社を経て土地の売却を成功させました。
2つの不動産会社の査定額にはなんと230万円以上の差があったのです。

複数社で査定しておくことで、最も高く売ってくれる不動産会社を選べます。
不動産売買に慣れた人は、必ず複数社で査定していますよね。
その理由がここにあるわけです。

少しでも高く売却するための不動産会社の選び方

4. 不動産会社と媒介契約の締結

土地の査定後、土地売却の仲介を依頼したい不動産会社と媒介契約を締結します。

媒介契約には以下の3種類があります。

  • 一般媒介
  • 専任媒介
  • 専属専任媒介

どの媒介契約を選ぶかによって、不動産会社との関係や土地の売り方に制限が出てきます。
自分が売りたい土地の条件に合わせて選ばないと、安売りや売れ残るリスクがあるので、必ず3つの媒介契約の違いを理解した上で、契約へと進みましょうね。

5. 売り出しの開始
6. 購入希望者の対応
7. 購入希望者との交渉

不動産会社と媒介契約締結後、実際に買主を探す売却活動が始まります。

不動産会社は宣伝広告を通して集客を行います。
購入希望者が現れたら、土地のある現地見学への対応を行います。

不動産売買は、売出しの値段でそのまま成約まで至ることはあまりありません。
必ずと言っていいほど、購入希望者から値下げの要望があります。
不動産会社の交渉力の見せ所で、実績の豊富な不動産会社ほど、あなたの希望の売値に近い値段で売ってくれます。

8. 売買契約
9. 引渡し

購入希望者と交渉が成立すると、売買契約を締結し、土地を相手に引渡すための手続きに移ります。

売却開始から全体が完了するまでの期間は、売り出し開始から売買契約まで「約3ヵ月」、売買契約から引渡しまで「約2ヵ月」、合計5ヶ月というのが一般的です。

土地を売却する流れは理解できましたか?

流れを理解しておくことで、不動産会社の「あなたを騙そうとする」間違った業務へ違和感を覚えやすくなります

ハーリーハーリー

さらに詳しく土地を売る手順を知りたい人は以下の記事も読んでみてね。
そんな土地の売り方があるの?相続した土地を一番高く売る方法

以下では、よくある不動産取引の詐欺の手口に対して具体的な防御方法についてお伝えしていきます。

強引すぎる不動産会社の営業は毅然と断る

強引すぎる勧誘営業を行う不動産会社は「囲い込み」を狙っているかもしれません。

囲い込みとは、不動産会社にとって利益が大きくなる顧客の獲得方法です。
囲い込みに遭うと、大幅な値下げを要求されたり、最悪な場合、売れ残ったりするリスクもあります。

不動産会社の利益は仲介手数料ですよね。
買主または売主からの依頼を受けて仲介役を担い、その報酬として発生するのが仲介手数料。
これを目当てに不動産会社の営業は成り立っています。

一般的に不動産売買は買主・売主のそれぞれに別の仲介会社が付きます。
これを「片手仲介」というので覚えておいてくださいね。

片手仲介に対して「両手仲介」というものもあります。
買主・売主の両方とも同じ仲介会社が付く場合ですね。

両手仲介は仲介手数料による報酬が2倍になります。
なぜなら、売買が成立することで売主であるあなたと買主の両方から仲介手数料を得られるからです。

倍の利益を得られるものですから、当然、不動産会社は「両手仲介」を好みますよね。
強引な勧誘営業で両手仲介を隠しながら差し迫ってくる不動産会社もいます。

売主と買主の両方を囲い込めるので、こうした営業行為を「囲い込み」と呼ぶのですね。
不動産会社にとって、利益が大きい囲い込みですが、売主のあなたの立場から見るとデメリットが目立ちます。

あなたにとっての囲い込みのデメリット。
買主を見つけられる範囲が、いま契約中の不動産会社のネットワークの範囲だけに限られてしまいます。
買主が見つかる範囲が狭ければ、当然、良い条件で売れるチャンスが減りますよね。
結果、安く売らなければいけなくなったり、買い手が見つからず延々と売れない状態が続いたりするわけです。

こうした囲い込みの被害に遭わないためには、あまりに強く勧誘してくる不動産会社は断るのだとを決めておくといいでしょう。
断るのが苦手な人なら、「他の不動産会社に決めた」と告げればいいでしょう。
それ以上ひつこい営業はしてこないはずです。

ハーリーハーリー

不動産会社への断り方については以下で特集してるので、気の弱い人はまた読んでおいてね。
不動産の一括査定あるある、しつこい電話営業を断る方法とは?一言で効く断り方

権利証を先に渡さない

権利証という名前の響きが、いかにも重要な書類という感じですよね?

ハーリーハーリー

権利証とは、土地の登記が済んでいることを証明する証書のことだよ。
不動産を登記するときに、登記申請書と同じ内容の書類を法務局に提出し、「登記済」の印をもらうんだ。その登記が済んだ証が権利証だね。

実は、僕は権利証をなくしてしまってました。
だから余計に心配になりました。

ハーリーハーリー

じつは権利証を紛失していても土地は売れるんだよ。
権利書紛失の対処法は以下でまとめているので、もし僕と同じように権利書をなくしてしまった人は参考にしてみてるといい。
権利書がない!相続した土地の権利書を紛失しても土地は売れる?

さて、権利書が手元にあるという人も油断してはいけません。
権利書絡みの詐欺は多いですよ。

権利書の扱いで注意したいのは、絶対に土地を売った代金を入金してもらってから買主に渡すということです。

買主が見つかり、売買契約が成立した後、登記(=土地の所有権)の変更を行います。
しかし、権利書を先に渡してしまうと、この登記移転が正常に行われず、勝手に登記を変更されてしまうリスクがあるわけです。
その結果、不動産の所有権を失ってしまうので、最悪なことに土地と売却額の両方を手放してしまうことになります。

このような詐欺に遭わないための方法。
それは、必ず入金を確認してから「権利証」や「登記識別情報通知証」を渡すようにする、ということです。

土地の売買は、売買契約と引渡しという2段階に分けて完結されます。
売買契約の時点では書面上での合意でしかありません。
このタイミングで権利証や登記識別情報通知証を請求されることはあり得ないのです。

ハーリーハーリー

登記識別情報通知証とは、登記識別情報を登記の名義人に通知するために届けられる書類のこと。いままでの権利証の代わりとして発行されることになった情報が載ってるんだよ。
権利証と同じ役割を果たすので、なくさないよう、人に盗まれないように気をつけよう。

通常は、引渡しの時点で残金の入金と同時に権利書を手渡します。
何度も言いますが、絶対によくわからないタイミングで権利書を渡さないようにしてください。

手付金の前に媒介契約の内容をしっかり確認しておく

買主からの手付金を奪って逃げる不動産業者がいるので注意しましょう。

不動産売買に詳しくない人にとって、手付金の役割や支払うタイミングは当然わかりません。
手付金を払うのは買主の方ですが、手付金詐欺では売主のあなたが土地を失うリスクもあるので、手付金とは何かしっかり理解しておいてくださいね。

手付金とは、買主から売主に支払われるお金です。

もし買主が売買成立した不動産の購入をキャンセルしたくなった場合は、売主に支払った手付金を放棄することで、売買成立を解除することができます。

その一方で、売主が不動産を売り渡すことができなくなった場合は、預かった手付金を返した上で手付金と同額を買主に支払うことで、売買成立を解除することができます。

手付金が発生するタイミングは、原則として、「売買契約」と同時と覚えておいてください。

手付金に関する詐欺を防止するためには、不動産会社と媒介契約を結ぶときにしっかりとその不動産会社の素性を確かめておくことが重要です。
媒介契約書の内容を隅々までチェックし、怪しい部分があれば不動産会社を問い詰め、契約中に行方をくらます怪しい業者でないか見極めるのです。

印鑑証明書を簡単に渡さない

権利証と同じくらい大切な書類。それが印鑑証明書です。

ハーリーハーリー

印鑑証明書とは、書類に押された印鑑が本人であることを証明するもの。
不動産売却では、印鑑証明書は主に「売買契約」「売買代金の決済」「土地の引渡し」のタイミングで必要になるんだよ。

印鑑証明書を不動産会社へ渡すタイミングを間違えると、登記を移転するときに悪用される可能性があります。

印鑑証明書を悪用する、地面師という詐欺師がいるんですね。
地面師は不動産業者になりすまして売却の仲介を申し出ます。
買主に隠れて、土地を転売したり、土地代金をだまし取ったりするための印鑑証明書を得るためです。

不動産取引に必要な免許を持っていない地面師は、国土交通省のデータベースで本物の不動産業者かどうかを確認することができます。
やっかいなのは、免許持ちの地面師がいることです。

登記を勝手に変更されることへの防止策としては、「登記に関するスケジュールは売主であるあなたが管理する」という方法が挙げられます。

買主から土地代金を得る日と登記移転の日を同時にすれば詐欺を阻止できます。
もし、買主からの代金授受をする前に印鑑証明書の要求をしてくる不動産会社は悪徳業者の可能性が高いです

印鑑証明書を要求してくるのはなぜか?
詳しい理由を尋ねるようにして、間違っても先に印鑑証明書を渡さないようにしましょう。

決済は必ず現金で行う

土地を売ったお金を受け取ることを決済といいます。

決済は必ず「現金」で行うことをお勧めします。
なぜかというと、決済を小切手で支払いたいと申し出て、実際は、「使用不可の小切手を使用する」という詐欺の手口があるからです。

本物の小切手を見たことがない人は、クオリティの高い偽物の小切手を見破ることができません。
また、本物の小切手だとしても、小切手には「不渡り」という仕組みもあります。
不渡りの小切手は受け取っても使用できずお金に変えられません。

こうした小切手がらみの詐欺は、売買代金を現金で受け取るだけで防げますね。
決済は現金で。
必ず守るようにしてください。

代金受け取りと登記移転は同じ日にする

不動産売買の代金決済と登記移転の手続きは同じ日に行われるのが普通です。

何かしらの詐欺を考える業者は理由をつけて登記移転を別の日に行うように誘導してきます。
こうした通常とは異なるスケジュールを要求してくる業者には、必ず詳しい理由を尋ねてください。
決して権利証や印鑑証明証などの取引に重要な書類を、求められるまま渡してはだめですよ。

決済時に司法書士に立ち会ってもらう

不動産売却における詐欺は、「決済」のタイミングに合わせて行われることが多いです。
言い換えれば、決済時がもっとも詐欺に注意するべきときなのですね。

決済で失敗しないためには、決済の現場で司法書士に立ち会ってもらえば安心です。

司法書士は不動産登記に関連する法律のスペシャリストです。
決済、また、土地の引き渡しの条件におかしなところがあればすぐに気づいてくれます。

司法書士を探す際に注意すべきポイントは、不動産会社が指定する司法書士には依頼しないことです。
不動産会社と司法書士が結託して詐欺を働くこともありえますからね。

複数の不動産会社を比較する

最後に、もっとも重要で最も簡単な不動産詐欺の回避方法をお伝えします。
それは、複数の不動産会社を比較することです。

1社の不動産会社に任せきってしまうことのリスクはご存知でしょうか?

同じ土地であっても、不動産会社によって査定額が異なります。
また、不動産会社によって「マンション売却が得意」「土地の売却が得意」「ビルの売却が得意」などの実績も異なるため、1社のみに任せてしまうと査定額が低くなる可能性や、売却までの期間が長引くことがあります。

これらを防ぐ方法は、複数の不動産会社を比較することです。

複数社を比較することで、もっとも高く売ってくれる不動産会社がわかります。

しかし、高い査定額だけを理由に不動産会社を選んではいけませんよ。
契約を勝ち取るために、わざと高い値段を付けている可能性があるからです。

売れそうにない高すぎる査定額を付けてくる悪質な業者を見極める方法。
査定額の根拠を聞いてみるのですね。

「なぜ、その価格で売れるのか?」という理由を査定額を見積もりしてくれた不動産会社へ質問してみるわけです。
まともな不動産会社なら、土地を売るための宣伝方法を提案してくれたり、過去の販売実績を提示してくれたり、査定額に頷けるだけの証拠を用意してくれるはずです。

査定額と一緒に、不動産会社の販売戦略を聞いた上で、複数のうちから最も信頼できそうな不動産会社を選びます。
こうすることで、悪徳業者や詐欺業者を避けることができるわけです。

以上のように、土地を売るときに注意したい詐欺の手口と詐欺を未然に防ぐ方法についてお話してきました。
被害に遭わない一番の方法は、土地を売るための知識をしっかり備えておくことです。
このサイトには他にも土地売却について役立つ記事がたくさんあります。
ぜひ読んでみてください。