今回は、土地を売るときの売買契約の流れをお伝えするよ。
売買契約がらみの詐欺の手口も紹介するので、だまされないようしっかり理解しておこう。
あなたが売り出し中の土地に、ついに買い手がみつかった!
そんな最高のときにあなたと買い手が結ぶ契約が不動産の売買契約です。
つまり、売買契約は待ちに待った嬉しいイベント。
売買契約を交わせば、土地売却というあなたの任務は終了。
土地を売ったお金も入ってきます。
売れるのに時間がかかった人ほど喜びは大きいものになるでしょう。
しかし、実際は売買契約を控える人の気持は不安で一杯。
なぜなら、売買契約の現場では、これまでの人生で扱ったことのない大金が動きます。
契約書には難しい専門用語が並び、財産を守るための命とも呼べるハンコもおさなければいけません。
これがはじめての不動産取引という人なら、「難しそう、お金をだまし取られたらどうしよう」と不安になるのも当然です。
実際、売買契約に関わる詐欺というものは存在します。
やっと買主が見つかったという喜びの中で、何千万という大金を盗まれるなんて天国から地獄へ急落下するのと同じです。
ただ、過剰に心配する必要はありません。
というのも、売買契約の流れをざっくりとでも理解しておけば、詐欺の手口を見破ることができるからです。
確かに売買契約を理解するためには、専門用語の意味を知っておかなければいけません。
でも、それほど難しい用語はでてきませんよ。
この記事を読めば、簡単に理解できるでしょう。
売買契約の流れについて、できるだけ噛み砕いて説明していきますね。
まずは、売買契約のときによくある詐欺の手口を紹介します。
定番の詐欺のパターンを知っておけば、やすやすと騙されることはないはずです。
それから、売買契約の流れの中で注意しておきたいことをお伝えします。
最後まで読めば、もう売買契約を恐れることはありません。
さっさと終わらせ、売却活動から解放される喜びを味わいましょう!
不動産の売買契約で実際にあった詐欺手口
バブル期には、不動産取引がさかんに行われていました。
地下が急騰し、その価格がいつまでも上昇していくものだと闇雲に信じられていたのですね。
売買の取引が成立すれば、巨額のお金が動き莫大な利益を得られます。
そのため、とにかく売買契約を成立させるため、押しが強すぎる勧誘や詐欺まがいのうまい話があちこちで横行していました。
今になっては、バブル期を見直すため不動産取引や不動産会社の営業の方法について規制ができて、バブル期ほど素人が危険な不動産売買に巻き込まれることは減ってきました。
しかし、不動産売買の場で詐欺に遭うリスクがゼロになったというわけではありません。
不動産取引に関して知識がないせいで、不幸なことに物件やお金を騙し取られるといった被害はいまでも起こっています。
以下では、特に売買契約に関連する詐欺の手口で代表的な2つを紹介します。
詐欺師や不動産会社による悪徳商法にひっかからないために、どんな手口があるのかを知っておきましょう。
地面師詐欺
地価が高騰したバブル期に頻繁にあった詐欺の手口です。
現在でもニュースに取り上げられることがあるので「地面師」という単語を聞いたことがある人もいるでしょう。
地面師は書類を偽造し、建物や土地の所有者になりすまします。
そして、所有者本人が知らない間に不動産を転売するのですね。
不動産を転売すれば当然お金が入ってきます。
そのお金を懐に入れ、そっと姿を消すのです。
これが地面師による詐欺の手口です。
地面師の手口を不動産用語で説明すると「登記関係の書類を偽造し、不動産登記を書き換える」というものです。
この地面師による詐欺を防ぐのは意外と簡単。
登記識別情報や印鑑登録証明書など、不動産の登記に関わる書類を他人に渡さなければいいだけです。
不動産取引がはじめての人は、とにかくいろいろなことが不安です。
そのため、扱いが難しそうな書類に関して「預かっておいてあげるよ」とか言われると、すぐに渡してしまうのですね。
だめですよ。
不動産に関わる書類はすべてあなたが持っておかなければいけません。
絶対に他人に渡さないでくださいね。
小切手詐欺
小切手詐欺は、その名の通り「小切手」を悪用した詐欺です。
あなたの土地を買いたいと現れた買主が、小切手での支払いを希望します。
現金の代わりに、土地代に相当する小切手をあなたに渡すことで精算するわけですね。
買主の希望に応じて小切手による決済が行われ、土地を引き渡します。
ここで問題が発生。
買主から受け取った小切手を換金するため銀行へ行くと、なんと使用不可の小切手だったのです。
買主は姿を消し、買主に渡ったはずの土地は第三者に転売されていました。
これが小切手詐欺です。
実際の小切手を見た経験がある人が少ないため、手渡された小切手が本物か偽物かわかりません。
あるいは、確かに本物の小切手だとしても、小切手は簡単に使用を不可にできるので、どんな場合でも売買決済は現金で行わなければいけません。
売買契約のときだけでなく、不動産の取引過程では他にも悪質な詐欺があります。
以下の記事にまとめておいたので、詐欺に遭うのが不安な人は読んでみましょう。
売買契約の流れ
いかがでしたか?
売買契約に関連した詐欺。
怖いですよね。
でも、もういまはその手口を知っています。
その知識を予防に役立ててください。
詐欺への心構えはできても、売買契約の特に当日は、大きい金額が動くこともあり、やっぱり緊張します。
当然ですが、緊張を理由に売買契約を欠席するわけにはいきません。
あらかじめ売買契約の流れを理解しておき、慌てず契約の場に足を運べるように準備しておきましょう。
売買契約は以下の流れで進みます。
1. 重要事項説明書の説明
売買契約の当日、買主と不動産会社と場を共にし売買契約を進めていきます。
まずは売主であるあなたの不動産会社から買主へ重要事項の説明が行われます。
重要事項とは、「都市計画法、建物・土地に関する説明、周辺環境」など主に「不動産の概要や権利」について売買契約の前に説明が必要とされる内容のことです。
重要事項の説明は、買主に対しては必ず説明しなければいけません。
一方で売主に対しての説明は法的に義務化されていないのですね。
そのため、重要事項の説明を買主側だけに行う不動産会社が多いのですが、売主も取引の条件を理解した上で契約したほうが良いので必ず同席し重要事項の説明を確認しましょう。
業者にとって重要事項の説明は慣れた作業です。
これまで何度も経験している業務のひとつなので、説明のペースが早く、あなたの理解がついていかないこともあるかもしれません。
そういうときは遠慮なく質問してください。
そしてできれば、事前に資料を受け取って目を通しておくことをおすすめします。
2. 売買契約書の確認
重要事項の説明が終われば、売買契約書の確認に移行します。
売買契約書に掲載されるすべての文字に必ず目を通してください。
特に以下の事項についてはしっかり理解をした上で契約をかわさなければいけません。
- 不動産情報
- 売買代金、手付金等の額、支払日
- 所有権の移転と引渡し時期
- 公租公課の清算方法
- 契約違反による解除
- 瑕疵担保責任
売主と買主が売買契約書の内容に納得できたところで署名・捺印すれば契約締結です。
売買契約書には収入印紙の貼付も必要なので覚えておきましょう。
瑕疵担保責任とは?
不動産売買でよく耳にする「瑕疵担保責任」という言葉があります。
上での重要事項の説明で特に確認が必要な情報の1つです。
読むのも難しいですね。
「かしたんぽせきにん」と読みます。
瑕疵担保責任とは、売買の対象となった不動産に隠れた瑕疵・欠陥などがのちのち発見された場合に負う売主側の責任のことをいいます。
つまりあなたが果たすべき責任のこと。
だから余計に注意が必要です。
一般的な瑕疵という言葉が指す例を挙げると、建物なら雨漏りやシロアリ被害、土地なら土壌汚染などが該当します。
買主が瑕疵担保責任を請求できる期間は「瑕疵を知ってから1年以内」と民法で定められています。
しかし、その瑕疵が売買前にあったものなのか又は購入後に新たにできたものなのか判断が難しいものがありますよね。
民法のまま適用されてしまうと売主の責任負担が大きくなってしまうため、売主が「個人」の場合は瑕疵担保責任に関する期間を「引渡しから2~3ヵ月」に設定する契約が多いです。
瑕疵担保責任が発生する期間を短く限定的にした契約でも、不安が残る人は、不動産会社の瑕疵担保責任の保証サービスを利用しましょう。
すべての不動産会社が提供しているわけではないですが、利用できれば、瑕疵があったときに保険で対応ができます。
4. 手付金の受け取り
売買契約後、いよいよお金が動きます。
売ったお金の総額ではなくまずは手付金を買主から受け取ります。
手付金は、契約が成立したことを示す頭金のようなものです。
不動産取引での手付金は「解約手付」といって、契約を解除したい場合は、買主は手付金を放棄、売主は手付金の倍額を返金することで契約を白紙に戻すことができます。
手付金の額は売買代金の「およそ10%」。
残りの売買代金は、土地の引渡しと同じタイミングで売主から買主に支払われることになります。
売買契約後の流れ
これまで見てきたような流れで売買契約は執り行われます。
そのあとは、実際に土地を引き渡すための準備をしていきます。
通常、引渡しは売買契約後から1~2ヵ月後に行われることが多いです。
準備が不足していると契約違反や損害賠償に発展する可能性があるので注意が必要です。
土地の引渡しと決済は同時に行われます。
売買代金から手付金の額を引いた残金が、買主から売主へ支払われるわけですね。
売買契約の当日に必要な書類
最後に、売買契約のその日に売主に必要な書類をまとめておきます。
不足するものがないか事前に必ず確認しておいてくださいね。
- 免許証やパスポートなどの本人確認書類
- 権利書または登記識別情報
- 実印
- 印鑑証明書
- 不動産会社に支払う仲介手数料
- 売買契約に貼付する印紙代
売買契約の流れ まとめ
売買契約の流れを知らなければ詐欺に遭う、は大げさかもしれませんが、売買契約について何の理解もなければ、売主や不動産会社に迷惑をかけてしまうでしょう。
事前に流れを把握しておき、売買契約の当日はリラックスしてスムーズな取引を行いたいものですね。