「土地を売りたい。でも、何から始めたらいいかわからない」と頭を抱えてはいないかな?
土地を売却する経験なんて、普通は一生に一回あるかないかだろう。
この記事では、土地を売る手順をひとつずつ詳しく説明する。その結果、以下の3つの知識が身につくよ。
この記事でわかること。
- 土地を売る手順と流れ
- 不動産会社の選び方
- 少しでも高く、賢い土地の売り方
僕も実は土地を売った経験があるんだ。
相続した土地で、売るしか有効活用の方法がない土地だった。
もちろんあなたと同じで、土地の売却なんて生まれて初めての経験だったよ。
土地の売却を成功させるまでは、いろいろな困難が続く。
書類を集めたり、どの不動産会社へ依頼するかを決めたり。手続きの度に準備や検討が必要なことも多く、「いったい何から始めればいいのかわからない」というのが普通の人の反応だ。
ぜひこの記事を最後まで読んで、土地の売り方をマスターしていってほしい。
土地を売る目的を具体的に考える
土地を売り出す前に、必ず明確にしておくことがある。
「土地を売却する目的」だ。
なぜ土地をうりたいのか?
その答えを考えることで、売りたい値段や期間など、土地売却の方向性を決められるからだ。
「土地を売りたい」と思うのは、何かしらの理由やきっかけがあってのことだろう。
それを整理すると、土地を売りに出すとき必ず決めなければいけない、以下の二つの条件が浮かんでくるはずだ。
- いくらで土地を売りたいか?
- いつまでに土地を売りたいか?
参考程度に、土地の売却を決心する理由として代表的な例を2つ挙げる。
固定資産税の負担が苦しくて売却を決意
土地や建物など「不動産」を所有していると、税金を毎年納税する義務が付く。
固定資産税と都市計画税だ。
税額は市区町村によって異なる。
平均的に数十万円となるケースが多く、年一回とはいえ、使用価値のない田舎の土地であればなおさら支払いがきつい。
もちろん売ってしまえば、そんな重い税金の負担から解放される。
地価が上昇するタイミングで売却したい
地価は一定ではなく、市場需要によって上下に変動を繰り返す。
再開発の計画が突然に予定されたりすると、その範囲の土地の価格が突発的に急上昇する。
そんな絶好のタイミングを逃さないため、早く売らなくちゃと土地売却を焦って決める人は多い。
代表的な例以外には下のような理由が多いだろう。
- 次世代に相続させたくない
- 管理が難しくなってきた
- 防犯が心配
- 地震が不安
- 新しく住み替えたい
- とにかく現金が欲しい
あなたはどんな理由で土地売却を決めたのだろうか?
もう一度整理して、いつまでに、いくらで売りたいかを具体的にイメージしてみるといい。
売却以外の土地活用も検討してみる
仮に売却をすでに決心していたとしても、一度くらいは、ほかに土地の有効活用の方法があるかどうかを探ってみても損はしない。
土地を売却することの一番のメリットは現金化だ。何千万単位で資産を現金に変えられる。
土地を売ったあと手にした現金を使って、新たに土地を買うのもいいね。
新天地で、住み替えるための家を建てる計画は、心を躍らせる。
不動産以外へ資金を投じ再投資という方法もある。役立たずの土地を寝かしておくよりも、資産を効率的に増やしていけるかもしれない。
一方で、土地を売らなければ、将来長く継続的な収入を得られる可能性がある。
人間、一度に大金を手に入れると目がくらむ。浪費してしまう人も多い。
大金を一気に手に入れるのではなく、土地の価値を活かし継続的で安定した収入を得られる方が将来の幸せにつながる場合もある。
売ることだけを考えるのではなく、「土地活用の方法」を検討してみることで、売却以外に効率よく利益を生み出す方法が見つかるかもしない。
以下は、定番の土地活用のパターンだ。それぞれメリットとデメリットを簡単に比較する。
月極駐車場・コインパーキング
メリット | デメリット |
---|---|
初期コストが低い | 収益性はあまり期待できない |
駐車場を経営する場合は、極端にいえば砂利敷をした上に線引すれば始められる。始めるにあたって必要なコストは低い。
初期投資が少ないため、大きな借金を抱えるほどのリスクは少ない。
空き地と変わらない状態なので、駐車場経営は売却や転用もしやすい。
ただ、リスクが少ないぶん、大きな収益性は期待できない。
アパマン経営(=アパート・マンション経営)で得られる家賃収入ほどの収益性はないけど、土地を放置しているよりは得だろう。
そんな動機で始める人も多いよ。
定期借地(事業用地として貸し出す)
メリット | デメリット |
---|---|
長期的に安定している | 転用が長期間できない |
定期借地は、期間を決めて土地を貸しに出す方法だ。
一度借り手が見つければ長期的な契約となるため、長い目で見ても安定した収益がある。
一方で、自由に土地を転用できないデメリットがある。
定期借地の契約は20~30年という長期的なものになるのが普通だ。
契約期間中、貸している間の土地の転用は許されていないんだ。
そういった点では、いつか土地を売却したいと考えている人にはあまりオススメできない。
アパマン経営
メリット | デメリット |
---|---|
高い収益性を期待できる | 空室のリスクがある |
アパートかマンションか、経営するグレードにもよるが、アパマン経営の家賃収入は他の土地活用と比較しても高い収益性を期待できる。
満室を継続する営業努力が必要だが、うまくいけば長期間、安定した収入が入る。
もちろん、家賃を払う借主がいないと収益はゼロになる。
空室問題はアパマン経営するにあたって最大のリスク。専門的な経営マネジメントを勉強する必要もあるくらいだ。
不動産会社を探す
土地売却を成功させるためには、不動産会社の選び方が最重要。
当たり前だ。
なぜなら、不動産会社の宣伝方法と販売網が売却の行方を決めるからだ。
不動産会社のタイプとは?
まずは不動産会社にもタイプがあることを知っておこう。
不動産会社は全部が同じ業務を行なっているわけではない。得意分野と苦手分野が存在する。
「売買」が得意な不動産会社。
「賃貸」が得意な不動産会社。
両方が存在する。
土地を売却したい場合は、当然「売買」を専門にしている不動産会社を選んだ方がうまくいきやすい。
不動産会社の得意物件とは?
また不動産会社によって得意な物件の種類も違う。
土地を売りたいなら、土地の扱いが上手な売買専門の不動産会社に依頼するべきだ。
本格的に依頼をする前に、必ず複数の不動産会社に相談しておくことも忘れないように。
複数社で比較することで、依頼すべき、もっとも信頼できる不動産業者を見つけられるからだよ。
依頼するなら大手?中小?
売却する土地の特徴と不動産会社の過去の取引実績がマッチしていれば、不動産会社の規模はあまり気にしなくてもいい。
大手には全国的な情報ネットワークがあるが、街の不動産屋にはその地域で長く営業してことによって積み重ねたコネクションがある。
先に大手、あるいは中小がいいと決めつけず、最初は大手と中小の両方へ売却のための相談してみるのがいいだろう。
相談した結果、現実的に売れそうな査定額と宣伝方法を提案してくれた方を選べばいい。
複数の不動産会社で土地を査定してもらう
不動産屋への土地売却の依頼は、査定から始まる。
査定するとき、何より肝心なのは、必ず「複数の不動産会社に依頼する」ことだ。
その理由は簡単。
業者によって「査定額」が異なるからだ。
土地の値段はいつも同じではない。売り出す時期によって変動する。
土地を見る人が違えば、値段も変わる。
立地や広さなどの土地の条件。
市場での需要と供給。
こうした様々な要素を元に業者が独自に値段を付ける。それが査定だ。
簡単に言えば、同じ土地でも高い値段を付ける業者と安い値段を付ける業者がいるということだ。
査定を1社だけに限定すると、本当はもっと高く売れたはずなのに、安い金額で売り出す恐れがある。
売れた後で、じつは損したんじゃないかと後悔するのは嫌だよね。
あとあとそんな失敗を避けるには、必ず複数社で査定しておくこと。
複数社での査定が必要なもう一つの理由。
売却のための「営業活動の質」が、不動産会社ごとに違ってくるからだ。
チラシで攻めるか、ネットへ広告を載せるか、宣伝方法によって、買い手の付きやすさが決まる。
営業担当者の腕も重要。優れた営業スキルを持つ担当者なら、需要が少ないエリアの土地でも売り切ってくれるだろう。
最悪なのは、宣伝が下手な不動産会社、態度の悪い営業マンへ任せてしまうことだ。
一社に限定して査定してしまうと、こういう過ちを犯してしまう。
必ず複数の業者を比較し、ここなら売れると心底期待できる業者を選ぼう。
簡易査定か訪問査定か、どっちを選ぶ?
不動産会社へ依頼する査定方法に種類があることを簡単に説明しておく。
不動産会社へ査定を依頼する方法は以下の二つがある。
- 簡易査定
- 訪問査定
簡易査定とは、土地を見なくても得られるデータから査定する方法のこと。
その名の通り簡易的な査定ではあるが、多数の取引実績を持つ不動産業者なら正確な査定額を算出できる。
訪問査定は、簡易査定で使用するデータと合わせて実際に土地を見にいって得られた現地の状況も加味して査定する方法のこと。
土地の状態や周辺環境など生の情報を元に査定するため、簡易査定より適正な価格を導きやすい。
土地の売却をまだ悩んでいる人や、売るかどうかを決めかねている人は簡易査定でいい。
本格的に土地の売却を進める気になれば、より現実的な値段を知れる訪問査定を依頼すればいいだろう。
不動産会社と媒介契約を結ぶ
査定額に納得できたら、売却を本格的に不動産会社へ依頼する。
そのときに交わす契約が媒介契約だ。
媒介契約には三つの種類がある。
- 一般媒介契約
- 専任媒介契約
- 専任専属媒介契約
それぞれ契約期間中に依頼主と不動産会社の双方でできることとできないことが違う。
一般媒介契約
メリット | デメリット |
---|---|
複数社に依頼できる | 不動産会社に報告義務がない |
同時にいくつかの不動産会社に依頼できるため、購入希望者が見つけやすい。
ただ注意したいのは、不動産会社が営業活動の報告をいちいち売主にしなくてもいいところだ。
実際にどのような営業活動が行われているのかを、あなたは知ることができない。心配になるのは当然。悪質な不動産会社の中には不真面目に営業しているところもあるからだ。
専任媒介契約
メリット | デメリット |
---|---|
自己発見取引が可能 | 複数社に依頼できない |
自己発見取引とは、依頼者自身が見つけた購入希望者と取引することをいう。あなた自信が買い手を見つけてもいい。
しかし、専任媒介では、媒介契約中に他の業者へ売却を依頼できない。1社だけが集中して売却活動を行うので、販売網は狭くなる。
専属専任媒介契約
メリット | デメリット |
---|---|
細かい報告義務がある | 複数社に依頼できない。 自己発見取引ができない |
専属専任媒介契約を交わすと不動産会社は1週間に1回の頻度で、依頼者に営業報告を行う義務が生じる。
不動産会社の宣伝活動や売却のための工夫を細かくチェックできるので、あなたにとっては安心感が強まる。
ただ、契約中、他の業者への依頼は禁止されている。自分で買い手を見つけることも許されていない。
媒介契約ごとのメリット・デメリットについては以下の記事でもっと詳しく説明しているよ。
条件を決めて土地を売り出す
土地を売り出す前に不動産会社と話し合いながら、売却の終着点を決める。以下の2点を決めておこう。
- 売り出し価格
- 期間
査定額のまま売り出すこともあるが、売り始める前にもう一度、価格を見直すことが多い。
近辺で売り出されている類似の土地の売買履歴や不動産会社の過去の取引実績を参考にして、もっとも売れそうな価格に調整する。
いつまでには売り切りたいという期間も決めて、どんな「宣伝方法」が効果的かも話し合う。
場合によっては、土地の整備も必要になる。
更地とは、建物や権利等が付着していない宅地を意味する。
土地の境界がはっきりしていない場合は測量も必要になるから覚えておこう。
買い手と交渉する
宣伝がうまくいくと、土地へ興味を持った人から不動産会社を経由して連絡が来る。
残念ながら、売り出し価格のまま売れることは少ない。
だいたいの購入希望者は、売り出し価格よりも低い価格を要望してくる。購入希望者と意見を交わしながら、値段も含めた売却の条件を交渉していくこととなる。
購入希望者が複数人現れることもある。
短期間で、購入したい人が複数人手を挙げた場合、「買付優先」となることが多い。
買付優先とは、購入の申込みが早かった順に優先する方法だ。
買付優先以外に、複数人から買い手を決める方法は以下のものがある。
- 契約優先
- ローン優先
- 決済優先
どの順番で優先するかは、不動産会社が状況を見て判断してくれる。
考えたくはないが、現実として、買い手が全く現れないこともありえる。
買い手が見つからない原因は、
- 売り出し価格が高すぎる
- 市場の需要が少ない
このどちらか、あるいは、両方があてはまる。
素直に売り出し価格を下げれば、買い手がつく場合が多い。
しかし、そもそも欲しがる人が少ないエリアの土地であれば値段を下げても買い手は見つからない。
販売網を広げ、違う宣伝方法を展開していくなど、売り切るための工夫が必要になる。
買主と売買契約を交わす
買主との交渉が無事にまとまれば、売買契約へと進む。
売買契約は、土地の所有権を売主から買主へ動かすための契約だ。
買主は売主に対して代金を支払う。
売主は買主に対して土地を引き渡す。
売買契約ではこの二つを約束するよ。
手付金について
売買契約の際に、買主から売主に売却価格の約10%~20%の金額が「手付金」として支払われる。
手付金は契約成立を示す証拠金の意味を持つ。
売買契約に必要な書類
以下は、売買契約を結ぶときに必要な書類の例だ。
- 登記簿謄本
- 登記済権利書
- 固定資産税納税通知書
- 本人確認書類
- 実印登録証明書
売却の流れによって、必要な書類の種類や数が変わる。
不動産会社が代わりに用意してくれる書類もあるので相談してみよう。
書類については以下の記事でも詳しく説明したよ。
仲介手数料
不動産会社に仲介を依頼すると「仲介手数料」が発生する。
仲介手数料の金額は、取引額に応じて上限額が決められている。
取引額の大きい土地ほど売却が成功したときの手数料が大きくなる。
取引額 | 仲介手数料 |
---|---|
200万円以下 | 取引額×5% |
200万円超~400万円以下 | 取引額×4%+2万円 |
400万円超 | 取引額×3%+6万円 |
土地を決済する
土地を売ったお金は、以下の方法で支払われる。
- 現金の手渡し
- 金融機関振出の小切手
- 金融機関口座への振込み
決済のタイミングは、二回に分けられることが多い。
売買契約のとき。
登記するとき。
売買契約のときは手付金の支払いが行われ、残りの代金は登記するときに支払われるという方法が一般的によくある。
売買契約時に、全額を一斉に支払う「同時決済」という方法もある。
決済日の当日は、売買に携わった面子が一同に会する。
- 売主
- 買主
- 不動産仲介業者
- 司法書士
- 銀行の担当者
これだけの人数が再度集まるのはなかなか大変なことだ。決済を書類の不備で失敗しないように、売主は権利書や印鑑証明書などの書類を忘れないようにしたい。
税金について
土地を売却すると以下の税金が課せられる。
- 所得税
- 住民税
- 印紙税
税金は国民の義務だとわかっちゃいるんだけど、払うときはやっぱりもったいない気がするんだよね。
「所得税」と「住民税」は、土地を売った利益に課せられる。
聞きなれないのは印紙税。
印紙税は、売買契約書に記載されている土地の売値に対して課せられる税金のこと。
仲介手数料と同じように土地を売った額によって印紙税がいくらか決まる。下に印紙税額を記しておくよ。
記載金額 | 印紙税 |
---|---|
1万円未満 | 非課税 |
1万円超~50万円以下 | 200円 |
50万円超~100万円以下 | 500円 |
100万超~500万円以下 | 1,000円 |
500万円超~1,000万円以下 | 5,000円 |
1,000万円超~5,000万円以下 | 10,000円 |
5,000万円超~1億円以下 | 30,000円 |
1億円超~5億円以下 | 60,000円 |
5億円超~10億円以下 | 160,000円 |
10億円超~50億円以下 | 320,000円 |
50億円超 | 480,000円 |
土地を買主へ引き渡す
決済が終われば、いよいよ最後の砦だ。
土地を引渡し、所有権の移転登記。
古い持ち主から新しい持ち主へ土地の名義を変更するための法的な手続き。
それが、所有権の移転登記だ。
売主と買主が必要事項を記入した登記申請書を司法書士が代理人として法務局へ提出して完了。
抵当権の抹消もこのときに行われる。
原則として、所有権の移転が完了するのと同時に引渡しも完了となる。
不動産は、売却時に手で渡すということができないよね。
マンションの手渡し。土地の手渡し。物理的に不可能だ。
そのため引渡しを記録に残すため、確認書を作ることもあるよ。
これでついに土地の売却が完了した。
今まだ準備中の人には、果てしなく長い道のりに思えるかもしれない。
やるべきことが多くて、さらに頭が痛くなった人もいるかもしれないけど、一つずつ階段をのぼっていくしかない。
以下で土地を確実に高く売るための鉄則を体験談として公開してるので、それもまた読んでおいてほしい。