今回は、お金になりそうにない土地を処分する方法についてお伝えするよ。
相続放棄、寄付など、いくつか処分の方法はあるけど、やっぱり安くても売却できるのが一番だね。
山奥の土地を「売り払いたいけど、売れる見込みがない」と勝手に決めつけてはいませんか?
実は僕もそうでした。
山奥というほど人里離れた土地ではなかったのですが、田舎にある土地を相続しました。
自分でも住むつもりはなく、住んでいる場所から特急を乗り継ぎ、一日かけてようやくたどり着ける場所にあったので、頻繁に面倒を見に行くこともできませんでした。
そのため自然と売却することを考えましたが、その土地は交通の便が悪く、また、面積が広すぎたため、買い手が現れる可能性は少ないだろうというのが最初の見立てでした。
使いみちのない土地をもち続けると固定資産税や防犯上のリスクが増えます。
だから、無駄に持ち続けるくらいなら、お金にならなくてもいいのでどこかに寄付できる方法はないかと考えるようになりました。
同じように特に相続で得た山奥の土地の処分に困る人は多いと聞きます。
そこで今回は、土地の処分に頭を抱える人に向けて以下の3点をまとめました。
- 土地を持ち続けることのリスク
- 売れない土地を処分する方法
- 売れない土地でも買い手を見つける方法
利益を求めないなら土地を寄付する方法もあります。
土地を持ち続けるリスクを考えると、確かに寄付でも処分できる方法のほうがいいのですが、ベストなのはやっぱり二束三文でも買い手を見つけることです。
この記事で処分に困る土地の対処方法の参考になれば幸いです。
山奥の土地を所有し続けるリスクとは
売れない土地は、そのまま持ち続けておけばいいのでは?
この疑問への答えは「ノー」です。
というのも、未使用の土地をそのまま放置しておくことには、以下の5つのリスクがあるからです。
- 固定資産税
- 防犯面
- 放火
- 不法投棄
- 負の遺産になる恐れ
固定資産税のリスク
まず、土地を所有することによるリスクとしては「固定資産税」が筆頭に挙げられます。
固定資産税は、不動産(建物・土地など)の所有者に課される税金です。
土地を所有し続ける限り、たとえその土地を使っていなくても、土地所有者の義務として税金を毎年支払わなければいけません。
固定資産税の金額は、土地の所在する区市町村のエリアによって異なります。
一般的には、「5~10万円」のようです。
5年間放置するだけでも、合計50万円も納税しなくちゃいけない。
土地の管理には防犯やメンテナンスの費用もかかる。
土地を維持するための費用はバカにならないよね。
だから早めに処分の方法を見つけたほうがいいんだ。
防犯面のリスク
山奥の土地となると近隣に住宅や建物が少なく、人通りのない立地にあることが多いです。
昼間は静けさがあり、穏やかな雰囲気がある場所でも、夜になると街灯などの明かりが届かない真っ暗な場所になってしまいますよね。
こうした場所は犯罪が起きる場所になりやすいです。
土地に関わる犯罪としては、空き巣や不法侵入が多いです。
犯罪を未然に防ぐには防犯カメラや人力による見回りが効果的ですが、防犯ツールを買うにはお金が、人力を投入するには手間がかかります。
放火のリスク
人気のない山奥の土地は、イタズラなどによる放火が発生するケースもあります。
放火が起こってしまうと、近隣もめちゃくちゃになり、その土地の価値がなくなってしまいます。
本当に使いみちのない土地になってしまうリスクが考えられるわけです。
不法投棄のリスク
不法投棄の場所としてターゲットになる恐れもあります。
不法投棄は1回でも行われてしまうと連鎖で狙われます。
結果的に大量のゴミが放置されてしまうと、そのゴミの処分を行うための相当な費用がかかります。
負の遺産になるリスク
上記のリスク以外にも、使いみちのない土地を処分せずに放置し続けることで、次の世代へ「負の遺産」となる相続してしまうことにもなりかねません。
子供に苦労をかけないためにも、自分の世代で解消しておくことを目指しましょう。
山奥にある土地を処分する方法
「処分」と言っても、不要な土地を捨てることはできません。
土地を処分するための具体的な方法としては次のような手段が挙げられます。
- 相続放棄
- 国・個人・法人へ寄付
- 買い手を見つける
相続放棄による処分
すでに相続してしまった人にとっては遅い話なってしまいますね。
もし、あなたがこれから土地を相続するなら、相続の前にその土地の扱い方を決めておきましょう。
扱いに困る土地ということがわかっていれば、あらかじめ相続を放棄してしまったほうがよい場合があります。
注意したいのは、相続を放棄しても、その土地の次の管理人が見つかるまでは、あなたに土地の管理義務が生じる点です。
これは民法第940条(以下に引用)で決められています。
相続の放棄をした者は、その放棄によって相続人となった者が相続財産の管理を始めることができるまで、自己の財産におけるのと同一の注意をもって、その財産の管理を継続しなければならない。
国、個人、法人へ寄付する
不要な建物や土地などを寄付することが認められることもあります。
寄付する先は、国、個人、法人などがあります。
一定の手続きや必要書類の収集などに労力が必要ですが、寄付が成立したあと所有権を無事に放棄することができます。
買い手を見つける
何より最善な方法はやはり売却です。
いくら山奥にある土地であっても、勝手に諦めてしまっては大損です。
僕の売れそうになかった土地でも最終的には2300万円の現金に変わりました。
土地を売却するときに最も重要なのは不動産会社選びです。
不動産会社によって宣伝方法も販売網も違うので、自分が売りたい不動産に近い売却実績を豊富に持つ不動産会社を見つけられれば、ぐっと売却できる可能性は高まります。
実際、ぼくも2社目の不動産業者で売れました。
もともと売れないと思っていた土地です。
少ないお金でも売れたら大儲け。
試しにいくらくらいで売れるか査定くらいはしてみたほうがいいでしょう。
査定は無料でできるネットの一括査定が手間暇かからず楽でいいですよ。
以下は一括査定で、信頼できる不動産を見つける方法です。
以下では、ここで挙げた土地の処分方法をさらに詳しく深掘りします。
土地の相続放棄
これから相続する不動産であれば、相続放棄という方法で処分ができます。
ただし、相続放棄にはいくつかの制限があるので、場合によってはデメリットが多いこともあります。
相続は選択できない
実は、「不動産だけを相続放棄の対象にする」ということは許されません。
売れそうにない土地だから相続しない、というように土地だけを相続放棄することができないわけです。
相続放棄の手続き
相続放棄の手続きは、「被相続人の住所を管轄する家庭裁判所」に対して各相続人がそれぞれ手続きを行う必要があります。
つまり、1人が代表して手続きを行うことができないのですね。
相続には「優先順位」があります。
優先度の高い相続人が相続放棄を行うと次の優先度の相続人へと移動します。
例えば、第1順位の相続人(被相続人の子供や孫など)が相続放棄をすると、次は第2順位の相続人(被相続人の父や母)へと移動。
さらに相続放棄が発生すると第3順位(被相続人の兄弟)へと移り、最終的に相続人となる対象が不在となった場合に、国庫に保管されることとなります。
ただし、相続放棄を行った場合でも「管理義務」には要注意。
相続放棄後は自分の財産ではなくなるため税金の支払い義務も消滅しますが、一定の管理義務が生じます。
仮に、管理義務を放棄すると、行政代執行により解体費用の請求が行われたりすることもあります。
また、相続放棄した土地でも、他者に損害を与えた場合は損害賠償を請求される可能性があります。
相続放棄後の不動産の管理は、最後に相続放棄を行った者に義務付けられているため、処分を行う場合は管理についてもしっかり確認しておきましょう。
国(自治体)へ土地を寄付する
国、または自治体は「道路開通事業」「公共施設新設事業」などの計画を予定していることがあります。
こうした計画に利用できる土地を自治体が探している場合は、土地の寄付を前向きに承諾してくれるはずです。
ただ、需要が少なく収益性もない土地であれば「寄付拒否」されてしまうことのほうが多いでしょう。
土地の管理義務や土地に課税される固定資産税などの徴収が行えなくなり、国(自治体)の立場からすれば何のメリットもないからです。
山奥にあるような土地の寄付を積極的に受け入れる自治体は少ないといえます。
税金の取り扱い
仮に寄付の承諾が行われた場合の税金の取り扱いは、「その年の固定資産税は寄付主が納税する」ということが妥当だと考えられます。
通常の不動産売買であれば、固定資産税は買主と売主で公平に清算されることが多いのですが、こうした清算は寄付の場合はあまり行われません。
国(自治体)へ寄付するときの手続き・必要書類
国(自治体)に寄付するための流れは基本的には以下の通りです。
- 各自治体の窓口に相談
- 自治体が対象土地の調査
- 承諾された場合は書類の提出
- 寄付の手続き完了
なお、必要書類などは自治体ごとに異なる可能性があるため、まずは窓口に相談することをお勧めします。
個人への寄付
寄付を受け入れてくれる可能性としては、国へ相談するよりも個人の方が受け入れてくれやすいみたい。
特に、隣り合った土地の持ち主が売る相手であれば簡単に個人間で売買できることも珍しくありません。
無償で譲ってもらえるとなると喜んで受け取ってくれることが期待できます。
個人へ寄付した場合の税金
個人が相手の寄付に課せられる税金として、覚えておきたい用語が2つあります。
- 譲渡所得税
- 贈与税
譲渡所得税に関しては、譲渡によって発生した利益に対して課税される税金です。
無償譲渡による寄付ではこの譲渡所得税は発生しません。
しかし、寄付を受けた側の受贈者は資産を譲り受けたことになるので、贈与税の対象となります。
とはいえ、贈与税には暦年課税制度というものがあります。
暦年課税制度は「年間110万円までの贈与なら税金が発生しない」というものです。
需要のない山奥にある土地は価値が低く、総額が110万円以下を下回る可能性が非常に高いです。
そのため、110万円以下の土地であれば、贈与者と受贈者のどちらにも税金は発生しません。
個人への寄付 手続き・必要書類
個人に対して贈与を行う場合は、贈与者と受贈者が共同して不動産登記を行うことになります。
ケースによって必要書類が変わることもあるため、一般的に必要となる書類をご紹介します。
- 贈与証明書
- 登記識別情報
- 贈与者の印鑑証明書
- 受贈者の住民票の写し
- 委任状(代理人が申請する場合)
不動産登記の手続きは、贈与の対象となる土地を管轄する法務局で行うことになります。
登記を行う際は、さまざまな専門知識が必要になるため、司法書士に相談するようにしましょう。
法人への寄付
法人へ寄付する場合の相手は以下の2つに別れます。
- 利益を追求する「営利法人」
- 不特定多数の利益を追求する「公益法人」
一般的に営利法人は、自社の利益を求める傾向があり、用途のない土地は課税や管理義務が生じることもあるため、寄付を受け入れる可能性は極めて低いです。
その一方で、公益法人は、自社利益よりも公共の利益を優先する傾向があるため、何かしらの使い道を見出してくれる可能性があります。
そのため、受け入れの可能性は「公益法人」のほうが高いといえます。
法人への寄付に課せられる税金について
個人への寄付とは異なり、法人への寄付は無償で譲渡した場合でも「時価で売却したもの」という扱いを受けます。
時価が取得費よりも高い場合は、譲渡所得の対象となって贈与者にも一定の税金が発生することがあります。
このように、売買と同じ扱いを受ける税金を「みなし譲渡所得」といいます。
取得費、というのがなんの費用なのかわからない人は以下の記事を読んでみてね。
相続した土地の取得費用がわからない場合の計算方法
ただし、寄付先が営利法人なのか、あるいは公益法人によって条件が変わります。
営利法人に対して寄付を行った場合は必ず課税対象となります。
つまり、「みなし譲渡所得」として課税の対象になるわけですね。
公益法人に対して寄付を行った場合は、寄付後に税務署で一定の手続きを行うことにより非課税扱いにすることが可能です。
結局は売却先を見つけることが1番の処分方法
相続放棄や寄付と比較して、最善の方法はやっぱり買い手を見つけることです。
寄付を受け入れてくれるところが見つかるということは、その土地の使いみちがまだゼロではないということです。
仮に数万円から数百万円という小さな金額でも、固定資産税や防犯コストを払い続けることを考えれば、無償同然でも売ってしまったほうが当然得です。
実際、あなたの土地にどれくらいの値段が付くかは、不動産会社に査定してもらうまではわかりませんよね。
一番、損するパターンが1社だけに査定を頼んで、その低い査定額に売れないと勝手に決め込んでしまうことです。
実は、査定額は不動産会社によって異なります。
極端な話、「ただでも売れない」と査定された不動産に値段が付くこともありえます。
僕の場合で、売れた値段は、最初の不動産会社の査定額よりも230万円以上も高くなりました。
不動産会社によって、売るノウハウも違うので、売り方が下手な不動産会社ならいくら高い査定額でも売れないので、結局、お金は手に入りません。
一方で販売実績が豊富で、販売網も広く深く持っている不動産会社なら、売れにくい土地でもうまく買い手を見つけてきてくれます。
売れそうにない土地だからといって、諦めてしまうのは賢くありません。
不動産の売買に慣れた人は、まず複数社で売りたい不動産の査定をします。
それで、不動産会社ごとに違う査定額と売却戦略を比較し、信頼できる不動産会社1社を選択します。
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