実は、僕も相続した土地を有効活用する方法として、アパート経営を夢見ていた。
アパート経営の魅力は、何より定期的に入ってくる家賃収入だ。
放っておいても入ってくるお金は「不労所得」だなんて呼ばれる。
働かずして入る所得。
素晴らしい言葉だけど、その言葉の裏にひそむアパート経営ならではのリスクがある。
僕が相続した土地は広く、330坪あった。アパートを建てるのに十分な広さだった。
でも、立地がアパートの賃貸業に不向きだった。
アパートを建てても入居率は絶望的に低くなることが予想できた。
アパート経営だけでなく、月極の駐車場にすることも検討したけど、結局は立地の悪さが原因であきらめた。
今となってはアパート経営を諦めた、その判断が正しかったと思ってる。
なぜなら、その土地は最終的に2300万円の価格で売れたからだ。
あのまま不労所得に憧れて、安易にアパート経営なんかに手を出していたら……
今頃借金で首が回らなくなっていたに違いない。
アパート経営にはそれくらいのリスクがある。
だからといって、アパート経営は悪ではない。本当に儲かるパターンもあるからだ。
そこで今回の記事だ。
アパート経営に興味のある人は、以下のような疑問を抱いていないだろうか?
- アパート経営にかかる費用はどれくらいなのか?
- アパート経営のリスクとは?
- 他に儲かりそうな土地活用の方法はないか?
- アパートを経営で節税の効果が得られるのか?
- アパート経営の流れとは?
- アパート経営は管理会社に委託するべきか?
- そもそも本当にアパート経営は儲かるのか?
今回の記事では、アパート経営の現実を説明していく。アパート経営以外の土地活用の方法とも比べるので、本当にあなたの持つ土地がアパート経営に向いているかがわかるはずだ。
相続した土地を有効活用する方法で「アパート経営」を検討している人は、ぜひ最後まで読んでほしい。
アパート経営のメリット・デメリット
アパート経営の一番のメリットは、やっぱり継続的な家賃収入だ。
冒頭でもお話した。働かずして入ってくるお金=「不労所得」だ。
労働から解放されながらも収入があるなんて夢のような話だよね。
家賃収入は特に現役を退いた老後の生活の支えになる。定年後に少しでも家賃収入があれば、安心して暮らせるだろう。
アパート経営の第二のメリットは節税だ。
土地を更地のまま保有しておくよりもアパートを建てた方が、固定資産税が安くなる。最大で6分の1。
都市計画税も最大で3分の1まで軽減されるので、固定資産税と合わせると、かなりの節税メリットがある。
ただアパート経営には大きなリスクが伴うことを忘れちゃいけない。
一番恐いのが、空き室だ。入居者が居ないと、もちろん家賃収入はない。
しかし、アパート自体は存在するので、共用部分の電気水道代は発生する。
誰も住んでなくても、時間が経てば建物は古くなるよね。
定期的なメンテナンスの費用の他に、大雨や台風など突発的な天才で外壁や屋根などが壊れたら、大規模な修繕をするための費用もかかるんだよ。
入居率が上がれば本当は嬉しいはずだけど、「入居率アップ=入居者とのトラブル増加」というとを覚えておこう。
家賃を滞納する入居者は珍しくない。
アパートのオーナーとして、めんどくさいのは、入居者同士の争いだ。騒音やごみの捨て方など、アパート内の隣人同士がモメる原因はそこらじゅうに転がっている。
最悪なのは、部屋が事故物件になってしまうことだ。わずか1室でも嫌な事故が起きた部屋があれば、アパート全体の入居率を致命的に悪くしてしまうこともあり得る。
アパート経営に向いている土地
アパート経営に向いているかどうか。
それを見極める最大のポイントは最高に当たり前だけど、交通の便と生活の便だ。
近くに駅やバス停などがあり、公共の交通機関が利用しやすい土地。
また、スーパーやコンビニなど商業施設が近くにある土地は、アパートを建てればたくさんの入居希望者に恵まれるだろう。
ただ、交通機関や商業施設が周辺になくても諦める必要はない。
ペット可にしたり、駐車料を2台込みにしたり、ターゲットを絞り込む工夫をすることで入居率はあげられるからだ。
結局はアパート経営もビジネスだということ。
土地のある近辺が生活をするのに不自由な場所であるからといって、アパート経営を断念するのではなく、その土地だからこそできる経営方法もあるってことだね。
どんな便利な場所でも、ただ待ってるだけで空室が埋まるという甘い考えは捨てた方がいい。
これから人口がますます減って行く中で、安定した家賃収入を継続して得るには、他のアパートと比較して差別化していく努力が必要になる。
アパート経営と駐車場経営を比較
市内中心部のような車が多く行き交うエリアであれば、駐車場経営は大きな利益を上げられる。
逆に、郊外へ行くにしたがって、駐車場の場合は大きな賃料収入を見込めない。アパート経営以上に地域的な需要が利益に大きく影響する。
初期投資に関しては、駐車場の方が安く済むよね。
だから、最初のハードルは駐車場経営の方が低い。
極端な話、土地を砂利敷きにしてロープで区画割りをする程度で、駐車場は始められるからね。
アパート経営は、土地の上に建物を建立てるところから始めるので、費用的にも計画的にも難易度が高く、素人が思いつきで始められるビジネスではないといえる。
アパート経営と土地売却を比較
土地売却することの大きなメリットは資産の現金化だ。
売るのに成功すれば、一気にまとまったお金が入る。
そのお金を使って新しく住宅を購入しても良いし、将来のために貯蓄や投資に回すこともできる。
ただ、土地を売った場合、一時的にどかんと収入は増えるが、持続したお金の入りはなくなる。
まとまったお金が入ると、気持ちが緩んで浪費してしまう人がいるよね。
僕がそうだ。
アパート経営で得られる持続的な家賃収入と一時的な特大ボーナスのどちらが、自分の将来にとって有益になるのかをじっくり検討する必要があるよね。
アパート経営の流れ
アパート経営の流れは、簡単に分けると以下のような順序になる。
- 1. 不動産会社へお問い合わせ
- 2. 不動産会社による土地の調査、市場調査
- 3. 見積もりの提案
- 4. アパートの建築工事
- 5. 入居者の募集
1. 土地をアパート経営に活用したければ、まずは専門の不動産会社へ問い合わせてみよう。
2. 問い合わせを受けた不動産会社は、その土地でアパートを問題なく建てることができるのかを調べ、入居付けをしやすくするために市場調査も行う。
3. 調査後、どういう物件を建てるのがいいか提案してくれる。
アパートの建築費はいくらで、どの程度の家賃収入が見込めるか。アパート経営を始るための費用と期待できる売り上げを見積もってくれる。
4. 不動産会社の提案に折り合えば、契約をしてアパートの工事を進めていくことになる。
5. 工場完成後、できるだけ早く家賃収入を確保するため、工事をしている段階から入居者の募集をスタートさせるのが一般的だ。
アパート経営の三つのタイプ
アパートが完成すると、建物のオーナーとして経営の舵を取っていく。
アパ―ト経営で重要な仕事が管理業務だ。管理業務を誰が行うかで3つのタイプがある。
- 自主管理
- 委託管理
- 一括借上
3つの違いはご存知だろうか?
自主管理とは?
自主管理というのは、文字通り。自分で管理業務のすべてを行う。
アパートの管理業務は以下のような内容が挙げられる。
- 入居者の斡旋
- 家賃回収
- 退去立会
- 修繕の手配
意外に多いと思った人がいるだろう。
実は僕も甘く見てた。これほどアパート経営に面倒な業務があるなんてね。
委託管理とは
上で挙げた業務を不動産会社に委託する管理方法だ。
オーナーとして業務にかかわらずに済むので楽になる。
けれど、毎月賃料の5%前後を手数料として管理会社へ支払わなければいけない。
また、不動産会社を挟む以上、修繕関係の費用も自分で発注する場合に比べて高くなる。
委託管理は、業務の負担が減る一方で、費用の負担が増えるということ。
一括借上
一括借上は、不動産会社が大家からアパート全体を借りて、運営してく方法のことだ。
入居率に関係なく毎月決まった金額を家賃収入として管理会社から見込めるところがメリットだけど、その額は、委託管理に比べて満室時の賃料より低い金額になることが多い。
どの管理方法がベストなのか?
もう一度、アパート経営の管理方法を挙げておく。この3つのうちどれを選択するべきか?
- 自主管理
- 委託管理
- 一括借上
どの方法にも、上で説明したとおり良し悪しがあるが、本業を抱えている人という前提では、管理会社へ委託することを検討したほうがいいだろう。
本業と並行してアパート経営を行うには、業務の数にかなりの労力を費やす。
また入居者とのビジネス的なやり取りを苦手とする人もいるだろう。
退去時に掛かる原状回復費用の負担割合を決めるとき、滞納者に対しての督促を出すとき、及び腰になってしまう大家さんは多い。
気があまり強くない人は、毎月手数料を支払ってでも管理会社に委託した方が、安心してアパート経営を行える。
アパート経営にかかる費用
さっきも話した通り、アパート経営のリスクは初期費用と維持費、つまりコストだ。
ざっとアパート経営にかかる費用でオーナー負担のものを箇条書きであげてみる。
- アパートの建築費用・ローンの返済
- 共用部分の電気代・水道料
- 管理会社に支払う手数料
- 入居者を募集するときの広告料
- 入退去時の修繕費用・鍵の交換代
- 火災保険料
- 固定資産税
これだけの費用が経営にのしかかってくる。ビジネスを走らせたことのない経営初心者にとっては、やりくりが難しいはずだ。
例えば、家賃の滞納者を相手に訴訟を起こすようなトラブルも突発的に起こるんだ。
トラブルに出費はつきもの。
家賃滞納の例で言えば、急に裁判費用を捻出しなければいけなくなる。
予期せぬ出費にも備えて、日々の経営から利益をストックしておくことが求められる。
お金をストックすることは、本当に難しい。貯金が苦手な人が多いことからもわかる。普通の人は、お金に余裕があると使ってしまうからだ。
入居者から敷金を預かることで一時的に収入が増えた感覚になるが、それはあくまで預かり金。
退去時に修繕やクリーニング費用に使うお金で、余った分は返還しなければいけない。
こうした経理面での責任感覚も、アパートの経営をするまで事業を走らせたことのない人にとっては、慣れない感覚だろう。
最近、インターネットの利用が無料の物件が増えつつある。
設備の導入費用や毎月の維持費を大家が支払うことでサービスを提供出来ている。
このような時代に即した設備のグレードアップをすると入居付けをしやすくなることは間違いないが、その分ランニングコストが増える。
こうした経営に必要な工夫や戦略の話をすると、家賃収入が期待されているような不労所得とは違うことがわかる。
家賃収入は、実は営業努力による賜物なのだ。
アパート経営は儲かるのか?
相続によって既に土地を取得している以上、入居付けに苦戦しない限り、経営上、大きな出費は最初の建物代くらいだ。
新築の場合だと、大規模な修繕の時期は当分先になる。しばらくの間はまとまった出費が発生することはないので、経理上は落ち着いていられる。
ただ、家賃収入よりもさっき上げた定期的に発生するランニングコストが上回るれば、赤字は間違いない。
経営をプラスにさせるためにも常に満室を維持していく営業努力が大切になってくる。
周辺の競合アパートもしっかり調査した上で、部屋の間取りや設備から適切な家賃を設定しなければいけない。
賃料を高額に設定したとしても、入居者が入らなくては意味がない。
その地域の他の類似物件と比較して、入居付けを行っていく為の戦略を練ることが大事だ。
結論。アパート経営は簡単に儲けられるわけではない
これまで説明してきたように、アパート経営もふつうのビジネスと変わらない。
常に満室で入居希望者が列をなしているようなアパートであれば家賃収入は不労所得といえるだろう。
しかし、一般の物件にとっては、入居者がいてこその家賃収入。
入居者に満足してもらえるような住まい造りが常に重要になってくるのはもちろん、空室を増やさないための経営センスと努力も必要になる。
もし、あなたが本気でアパート経営について考えているなら、ぜひ以下のようなアパート経営の専門家に相談してみることをお勧めする。
あなたの土地に合わせたアパートの経営プランと経営にかかる費用を提案してもらえる。
複数の不動産会社から提案してもらえるので、違う見方でいろいろな経営プランを検討できる上、ベストなプランを提案してくれた不動産会社と組んでアパート経営に着手できる。